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クールワークキャンペーンとは?2026年の実施期間・重点事項・企業の対応を解説

監修者:涌井 好文 涌井社会保険労務士事務所
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この記事でわかること・結論

  • クールワークキャンペーン2026の実施期間・スケジュール・3つの重点事項
  • 2026年3月策定の新ガイドラインが示す職場の熱中症対策5項目
  • 前年比4割増という死傷者数の背景にある「形骸化」の問題と、人事担当者が今すぐ取り組むべき実務ポイント

毎年夏になると職場の熱中症対策に取り組んでいるものの、本当に十分かどうか不安を感じていませんか。

2025年の職場における熱中症死傷者数は1,803人と統計開始以来最多を記録し、前年比約43%増という深刻な結果を受け、2026年3月には新たなガイドラインが策定されました。こうしたなか、厚生労働省は2026年も「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を実施します。

期間は2026年5月1日から9月30日まで、4月が準備期間、7月が重点取組期間です。2026年はWBGT値の把握・重篤化防止対策の周知・有訴者への特段の配慮が重点事項とされており、新ガイドラインに基づいた実効性のある対策の整備が企業に求められています。

本記事では、クールワークキャンペーンの概要・2026年の最新実施内容・企業が今すぐ取り組むべき熱中症対策の実務ポイントをわかりやすく解説します。

クールワークキャンペーンとは?概要と目的

クールワークキャンペーンの概要まとめ画像

まず、クールワークキャンペーンの基本情報と、2026年に特に対策が強化される背景を整理します。

キャンペーンの正式名称と目的

クールワークキャンペーンの正式名称は「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」です。職場での熱中症は毎年多くの死傷者を出す深刻な労働災害であり、これを防ぐために厚生労働省が主唱し、中央労働災害防止協会が事務局を担って毎年実施しています。2017年(平成29年)から始まり、2026年で10年目を迎えます。

キャンペーンの目的は、職場における熱中症による死傷者ゼロを目指し、全国の事業場に対して熱中症予防対策を集中的・一体的に呼びかけることです。厚生労働省と労働災害防止団体が連携し、周知・啓発活動のほか熱中症予防情報ポータルサイトの運営やオンライン講習動画の提供もおこなっています。

POINT
クールワークキャンペーンの基本情報

毎年夏季に国が主導しておこなう職場の熱中症予防キャンペーンです。対象は規模・業種を問わず、暑熱環境で働く労働者がいる全ての事業場です。

正式名称

STOP!熱中症 クールワークキャンペーン(令和8年版)

主唱・運営

厚生労働省、中央労働災害防止協会、建設業労働災害防止協会などが主唱。公益社団法人日本保安用品協会、一般社団法人日本電気計測器工業会が協賛、関係省庁が後援。主唱者および協賛者等が連携し相互支援のもとに実施。

実施期間(2026年)

2026年5月1日〜9月30日(4月:準備期間 / 7月:重点取組期間)

目的

職場における熱中症による死傷者ゼロを目指し、事業場への熱中症予防対策の周知・徹底をはかる

キャンペーンが始まった背景と2026年の深刻な現状

2025年(令和7年)の職場における熱中症による死傷者数(確定値)は1,803人で、前年比約43%増加・統計開始以来最多となりました。死亡者数は19人と前年比約39%減少したものの、死傷者数の急増は深刻な課題です。業種別では製造業の死傷者数が最も多く365人、建設業が292人と続き、この2業種で全体の約4割を占めています。死亡者数は建設業が最多で、警備業が続きます。

令和7年(2025年)職場における熱中症の発生状況(確定値)

・死傷者数(休業4日以上):1,803人(前年比約43%増加・統計開始以来最多)
・死亡者数:19人(前年比約39%減)
・死傷者数の多い業種:製造業365人・建設業292人(2業種で全体の約4割)
・死亡者数の多い業種:建設業が最多・警備業が次点
・課題:労働衛生教育の未実施事例・疾病保有者への配慮がない事例が見られた

対象となる事業者と作業の定義

キャンペーンの対象は屋外・屋内を問わず、熱中症のおそれのある全ての作業を対象としており、暑熱環境での作業に従事する労働者がいる全ての事業場が該当します。特に以下の業種・作業環境は高リスクとして重点的な取り組みが求められます。

対象となる作業の定義
  • WBGT(湿球黒球温度)値が28度以上、または気温が31度以上の環境下でおこなわれる作業
  • 上記の環境下で連続1時間以上または1日4時間を超えて実施が見込まれる作業
  • 特にリスクが高い業種:建設業・製造業・警備業(これらの業種は行政指導の対象になりやすい)

クールワークキャンペーン2026の実施期間とスケジュール

クールワークキャンペーン2026の実施期間とスケジュール

2026年の実施スケジュールと、今年特に重点的に取り組むべき3つの事項を整理します。準備期間から重点取組期間まで、段階的に対策を強化することが重要です。

2026年の実施スケジュール

2026年は4月を準備期間、5月1日から9月30日をキャンペーン期間、7月を重点取組期間として設定しています。7月の重点取組期間には全社的な対策強化が求められるため、今から段階的に体制を整えておくことが重要です。

なお、今回の改正法(令和7年法律第33号)には、熱中症対策以外にも企業に影響する改正が含まれています。2028年(令和10年)5月までには、これまで努力義務だった50人未満の事業場へのストレスチェックも義務化される予定です。熱中症対策と並行して、自社の対応スケジュールを確認しておきましょう。

期間 区分 主な取り組み内容
2026年4月 準備期間 設備点検・衛生教育の計画・WBGT測定器の確認・ポータルサイト等での情報収集
2026年5月1日〜6月30日 キャンペーン前半 熱中症予防体制の整備・作業員への教育実施・緊急時対応手順の周知
★2026年7月 重点取組期間 全社的な対策強化・WBGT値の随時把握・現場巡視の徹底・バディ制の運用
2026年8月1日〜9月30日 キャンペーン後半 継続的な対策実施・体調不良者への対応・振り返りと記録の保存

2026年の3つの重点事項

2026年3月に策定された新ガイドラインに基づき、今年のキャンペーンでは以下の3点が特に重点的に呼びかけられています。単なるポスター掲示にとどまらず、現場での実践につながる形で周知・徹底することが求められます。

3つの重点事項
  • ①WBGT値の把握:日本産業規格に適合した測定器でWBGT値を随時把握し、28度超の場合は作業内容の見直し・休憩・水分補給徹底などの対策を強化します
  • ②重篤化防止対策の周知:早期発見のための体制整備・実施手順の作成・関係作業者への周知を徹底します。体調不良を申告できる職場の雰囲気づくりも重要です
  • ③有訴者への特段の配慮:糖尿病・高血圧症など熱中症リスクが高い疾病を有する者に対して、医師等の意見を踏まえた就業場所の変更や作業負荷の軽減をおこないます

2026年3月策定の新ガイドラインの主な内容

2026年3月策定の新ガイドラインの主な内容

2026年のキャンペーンは、同年3月に新たに策定された「職場における熱中症防止のためのガイドライン」に基づいています。職場の熱中症対策が罰則付きで義務化された改正労働安全衛生規則と合わせて、このガイドラインが2026年の対策指針の核心となります。

新ガイドラインが示す5つの対策事項

2026年3月策定のガイドラインでは、事業者が取り組むべき対策が具体的に示されています。以下の5つを網羅した体制を構築することが、今年のキャンペーン対応の基本となります。

5つの主な対策事項
  • WBGT値の測定・管理:測定器でWBGT値を随時把握し、基準値超の場合は作業中止・中断も含めた対応をおこなう
  • 作業前の健康状態確認:朝食未摂取・睡眠不足・前日の多量飲酒が熱中症発症に影響する旨を日常的に指導し、作業開始前に体調を確認する
  • 作業中の健康確認:頻繁な巡視と声かけ・バディ制の採用により異常の早期発見体制を整備する
  • 配慮が必要な労働者への対応:糖尿病・高血圧症等の疾病を有する者に対して医師等の意見を踏まえた個別の配慮をおこなう
  • 異常時の対応:連絡体制・対応手順を事前に作成・周知し、発症時に迅速な救急措置がとれる体制を整える

企業が取り組む熱中症対策の基本5項目

企業が取り組む熱中症対策の基本5項目

新ガイドラインと2026年の重点事項を踏まえ、企業が実務として取り組むべき5項目を整理します。自社の対応状況の確認にも活用してください。

①WBGT値の測定と管理体制の整備

WBGTとは湿球黒球温度のことで、気温だけでなく湿度・風速・輻射熱も考慮した暑さの総合指数です。WBGT値が28度を超えた場合は、作業内容の見直し・こまめな休憩・水分と塩分の補給の徹底・直射日光を避けるなどの対策強化が必要となります。測定器は作業員が実際に作業する高さ・場所に設置し、重点取組期間(7月)は特に頻繁に確認することが重要です。

②作業環境・設備面での対策

WBGT値の管理と並行して、作業者が熱にさらされる環境そのものを改善することが重要です。設備投資や環境整備は時間がかかるものもあるため、準備期間(4月)中から計画的に進めましょう。

環境改善の具体例
  • 冷房・送風設備の整備・日よけや遮熱シートの設置・冷却ミストの活用
  • 休憩所(涼しい場所)の確保と、そこに冷却グッズ・経口補水液を常備
  • 熱への順化(暑熱環境への慣らし):暑熱環境への慣らし期間を少なくとも数日間設け、新規着任者や季節の変わり目は特に注意する
  • 水分・塩分の補給しやすい環境の整備(作業場所の近くに飲料水を配置)

③作業者への教育と声かけ体制

熱中症の初期症状(めまい・失神・大量発汗・頭痛・気分の不快など)と応急処置の手順を全作業者に周知します。特に新規着任者や暑熱環境に不慣れな作業者には重点的な教育が必要です。バディ制度(2人1組で互いの体調を確認し合う体制)を導入することで、体調不良の早期発見につながります。体調不良を申告しやすい職場の雰囲気づくりも、形骸化を防ぐ重要なポイントです。

④疾病保有者への個別配慮

健康診断の結果をもとに、糖尿病・高血圧症など熱中症リスクが高い疾病保有者を把握し、就業場所の変更や作業負荷の軽減などの配慮をおこなう必要があります。2025年の事例では、疾病保有者への配慮がおこなわれていなかった事案が確認されており、この点が今年の重点事項の一つとして明示されています。疾病保有者への配慮を怠った場合、労働災害発生時の安全配慮義務違反として問われるリスクがあります。

⑤緊急時の対応体制の整備

熱中症は発症から重篤化までが速いため、発症時にすぐ動ける体制を事前に整えておくことが命を守る鍵となります。以下のチェックリストで自社の準備状況を確認してください。

緊急時の対応体制チェックリスト

Q1. 発生前の体制整備
Q2. 日常的な確認体制

死傷者数が前年比約43%増。形だけの対策から脱却するために

毎年キャンペーンが実施されているにもかかわらず、2026年に明らかになった死傷者数は統計開始以来最多の1,803人(前年比約43%増)という深刻な結果です。この現実が示すのは、ポスターの掲示や書類の整備だけでは熱中症は防げないということです。

毎年キャンペーンをやっているのに死傷者が増える理由

厚生労働省の発表では、2025年の死傷事案の中に「熱中症予防のための労働衛生教育の実施を確認できなかった事例」や「疾病保有者への配慮をおこなっていなかった事例」が見られたことが明記されています。書類は整備したが現場に浸透していない、この「形骸化」こそが、死傷者数が増え続ける根本的な問題です。

注意点:企業が陥りやすい形骸化の4パターン

・ポスター掲示・書面整備のみで実態が伴っていない(WBGT測定をしていない等)
・管理職が現場の暑熱状況や作業者の体調を把握できていない
・体調不良を申告しにくい職場の雰囲気がある(「少しくらい大丈夫」という空気)
・新規入場者・暑熱環境に不慣れな作業者への教育が不十分

人事担当者が押さえるべき実務上の関与ポイント

熱中症対策は現場任せになりがちですが、人事・安全衛生担当者の関与が不可欠です。具体的には、①労働衛生教育の実施記録の管理と確認、②疾病保有者リストの健康診断データとの連携、③緊急連絡体制の文書化と定期的な更新、④WBGT測定記録の保存と振り返りの4点が人事部門ができる直接的な関与です。

労働災害が起きてからでは遅いという危機感を組織全体で共有し、「義務として対応する」から「従業員の命を守る投資として取り組む」への意識転換が、今求められています。

クールワークキャンペーンに関するよくある質問

クールワークキャンペーンとは何ですか?
厚生労働省が毎年5月から9月にかけて実施する職場の熱中症予防対策キャンペーンです。正式名称は「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」で、中央労働災害防止協会が事務局を担っています。2026年(令和8年)の実施期間は5月1日から9月30日で、4月が準備期間・7月が重点取組期間に設定されています。
2026年のキャンペーンの重点事項は何ですか?
①WBGT値の把握(暑さ指数の正確な測定と管理)、②重篤化防止対策の周知(早期発見・報告体制の整備)、③有訴者への特段の配慮(疾病保有者・体調不良者への個別配慮)の3点です。2026年3月に新たに策定されたガイドラインの内容を踏まえた対応が求められます。
中小企業も対象になりますか?
規模にかかわらず、熱中症リスクがある全ての事業者が対象です。特に建設業・製造業・警備業は行政指導の対象になりやすいため、規模が小さくても対策の徹底が必要です。
WBGT値はどのように測定すればよいですか?
日本産業規格に適合したWBGT測定器を作業場所(作業員が実際に作業する高さ)に設置して測定します。WBGT値が28度を超えた場合は、作業内容の見直し・こまめな休憩・水分と塩分の補給徹底などの対策を強化する必要があります。重点取組期間(7月)は特に頻繁に確認することをおすすめします。
熱中症対策を怠った場合、企業にどんなリスクがありますか?
労働安全衛生法に基づく行政指導・是正勧告の対象となる可能性があります。熱中症による死傷災害が発生した場合は労災認定に加え、安全配慮義務違反として民事上の損害賠償責任を問われるリスクもあります。

まとめ

毎年の義務として形式的に対応するのではなく、従業員の命を守る投資として熱中症対策に取り組むことが、企業にとって最も重要な姿勢です。準備期間(4月)から今すぐ自社の対応状況を点検し、重点取組期間(7月)に向けて万全の体制を整えましょう。

3つのポイント
  • 2025年の死傷者数は1,803人(前年比約43%増加・統計開始以来最多)。2026年の重点事項はWBGT値の把握・重篤化防止対策の周知・有訴者への特段の配慮の3点
  • 実施期間は2026年5月1日から9月30日(4月:準備期間・7月:重点取組期間)
  • ポスター掲示・書類整備だけの「形骸化」が死傷者増加の根本原因。WBGT測定の実施・疾病保有者への個別配慮・緊急時手順の周知が伴った実質的な対策が必要です
涌井社会保険労務士事務所 監修者涌井 好文

平成26年より神奈川県で社会保険労務士として開業登録を行い、以後地域における企業の人事労務や給与計算のアドバイザーとして活動を行う。
退職時におけるトラブル相談や、転職時のアドバイスなど、労働者側からの相談にも対応し、労使双方が円滑に働ける環境作りに努めている。
また、近時は活動の場をWeb上にも広げ、記事執筆や監修などを通し、精力的に情報発信を行っている。

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