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思わぬリスクが潜む!?労働者の移動時間中の労務管理のポイントとは

思わぬリスクが潜む!?労働者の移動時間中の労務管理のポイントとは

労働者の移動時間中について、それが「通勤」と「業務時間中」のどちらに該当するのか、という観点から労務リスクの大小が左右されます。なぜなら、その分類によって労働者が法的な保護を受けられるかどうか、あるいは事業主として問責されるかどうかがことなるからです。

また、短時間の移動であっても、場合によっては思わぬ損害を被ることになりかねません。今回は特に労働災害のリスクについて解説します。

業務に関連する移動かどうかでことなる労働災害リスク

まず、移動中にケガを含む災害が起きてしまったケースから説明していきます。この場合、「その移動が業務に関連して行われていたか」ということが、労働災害(以下:労災)として認定されるかどうかのポイントとなります。

出勤、退勤時はもちろん、タイムカードの打刻忘れ等で会社に戻った際にケガをしてしまったというケースでも、退勤中と認められる場合は労災の認定対象となることがあるのです。一方で、会社の運動施設を利用するために休日に来た場合や、労働組合が主催する大会への出席するため会社へ来た場合は、業務に関連性がないとされており労災は認められません。

また、労働者が労働終了後にサークル活動といった私的な活動を社内で行っており、その活動後の帰宅中に災害が起きてしまったという場合は、労災として認められることもあります。このケースでは、業務と私的な活動に関連性が認められるかということに焦点が当てられます。

この関連性をはかる基準は「時間」です。その目安はおおむね2時間とされており、業務終了後に事業場に残って私的な活動を行っていた時間がこの目安以内であれば、行政実務上はその活動と業務との関連性があると認められています。

移動形態のパターンによってことなる労災リスク

労災保険法上では、通勤と認められる移動を「住居と就業の場所との間の往復」としています。住居とは労働者が居住し、就労のための生活拠点としている場所のことを指し、就業の場所とは業務を開始、または終了する場所のことを指します。

よって、労働者が単身赴任などで自宅以外の場所に居住する場合は、赴任先の住居と就業の場所の往復が通勤とみなされます。ただし、親の介護や未成年の子供の養育といった理由があり、労働者が週末の間だけ家族が住む自宅へ帰省している場合は、赴任先と帰省先の移動も労災と認められます。

また、最近は労働形態も多様化しており、さまざまな移動が通勤として認められるようになりました。これにより、複数の仕事を掛け持ちしている労働者の場合、就業の場所Aから別の就業の場所Bへの移動も労災の適用範囲内になります。

このように、住居や就業の場所に関しては、必ずしも自宅や特定の事業場だけが当てはまるというわけはないので、間違いのないように確認しておきましょう。

合理的な経路・方法かどうかでことなる労災リスク

労災と認められるには、労働者の通勤経路が「合理的」である必要があります。この合理的な経路とは、社会通念上、労働者が通常通勤に利用する経路のことです。このような経路であれば、最短経路でなくとも合理的な経路と認められます。その通勤手段も電車・バス・自動車・自転車・徒歩など、どういったものでもかまいません。

ただ、電車通勤の場合は人身事故が起きること、車通勤の場合は道路工事などによって普段とは違う経路を利用することも考えられるでしょう。このように、やむを得ない事情については合理的な経路として認められます。これに該当するかはその都度、労働者に確認するようにしましょう。

移動中の行動によってことなる労災リスク

特別な理由のない寄り道などは中断・逸脱となってしまい、合理的な経路として認められません。通勤途中に仕事とは関係のない私的な買い物をする、退勤途中に映画を観に行くといった趣味活動を行う等をした場合は中断・逸脱とみなされ、通勤扱いとはならないのです。

この場合、たとえ中断・逸脱した後、本来の経路に戻ったとしても労災の保護対象とはなりません。中断・逸脱になるか、合理的な経路になるかといったことは、「日常生活上必要な行為」を「やむをえない事由により行うための最小限度のもの」であるかどうかで判断します。

前述のような同じ買い物でも、業務の休憩中に昼食を摂るために行った買い物や、仕事帰りに日用品の買い出しを行った場合などは、「日常生活上必要な行為」として認められます。ほかにも、体調不良のため病院へ行った場合、介護などで親族の自宅に寄った場合なども同様に、「日常生活上必要な行為」と認められているのです。

出張時の目的地発着往復途上における労災リスク

出張時の移動については、判例上大きく分けて2つの考え方があります。ひとつは「移動時間も通勤時間と同じ性質である」という考え方、もうひとつは「移動中も事業主から拘束されている時間であるため、労働時間と同じ性質である」という考え方です。

上記2つの異なる点は、労災保険法上、出張時の移動を通勤時間と同じ性質であると見なした場合、移動中に起きた災害については「通勤災害」として扱われ、療養給付や休業給付などが支給されることになります。よって、事業主の災害補償責任も問われません。

一方で出張時の移動を労働時間と同じ性質であると見なした場合、「業務災害」として扱われるので、事業主に災害補償責任が発生してしまいます。どこからが通勤時間で、どこからが労働時間になるのかは、労使で話し合いを行い明確に決めておく必要があります。一般的に事業主が出張の時刻を指定している場合は、労働時間とみなされることが多いようです。

まとめ

労災とは縁の無い生活を送ることが理想的なのですが、いつ何が起こるかは誰にもわかりません。特に出張時の移動に関しては、労働時間なのか移動時間なのかによって、大きく責任が変わってきます。

これらに関することを通勤における中断・逸脱の範囲もあわせて、あらかじめ労働者と話し合い、確認をしておきましょう。

社会保険労務士事務所そやま保育経営パートナー

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