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労災保険の手続きの流れとは?保険証の誤使用への対策やポイントを解説!

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労働保険(労災保険/雇用保険)労災保険

労災が起こったときの手続きの方法や流れはご存知ですか?労災が起きてしまった場合、労災保険で治療してもらう以外に、人事労務担当者として、処理すべき手続きがあります。

今回は実際に労災が起きてしまった際の正しい手続きのほか、「診療所、病院でのかかり方」や「間違って健康保険で治療してしまったときの対応方法」、「労災で休んだときの休業補償」を中心に解説していきます!

労災保険の手続き

万が一、労働者災害が起きてしまった場合、事業主(使用者)は適切に対応・処理しなければいけません。労災保険の手続きは、原則的に労災に遭った本人、またはその家族が行います。しかし、従業員の負担を避けるために、企業が手続きを代行することも可能です(多くの企業が手続きの代行を行っています)。

労災保険の手続き

労災保険の手続きは、一般的に以下の流れで行われます。

  1. 労働者から会社に労働者災害が起きた旨を報告
  2. 労働基準監督署長宛に必要書類の提出
  3. 労働基準監督署の調査への対応
  4. 保険金の給付

申請に必要な書類

労災手続きの必要書類は複数あり、それぞれ必要に応じて、書類を準備・記入の上、各機関へ提出しましょう。

給付の種類 書類 提出先
療養補償給付
(労働保険指定医療機関で受診した場合)
療養補償給付たる療養の費用請求書
(様式第5号)
受診した医療機関
療養補償給付
(労働保険指定医療機関以外で受診した場合)1
療養補償給付たる療養の費用請求書
(様式第7号)
管轄する労働基準監督署長
休業補償 休業補償給付支給請求書
障害補償給付 障害補償給付支給請求書2
遺族補償給付 遺族補償年金支給請求書請求書
遺族補償一時金支給請求書
遺族補償年金前払一時金請求書
葬祭料請求 葬祭料請求書
傷病補償年金 傷病の状態等に関する届
介護補償給付 介護給付支給請求書
介護補償給付支給請求書

1 労働保険指定医療機関でない医療機関で受診した場合、一旦治療費を立て替え支払う必要があります。

2 業務災害の場合は様式第10号、通勤災害の場合は様式第16号の7

労災の種類とは

労災には、「業務災害」、「通勤災害」、「第三者行為災害」の3種類があり、それぞれ認定要件が異なります。

  • 業務災害(業務中の負傷、病気、死亡などの業務災害)

    業務災害は、業務との因果関係が認められた際に認定されます。

  • 通勤災害(通勤時に起きた災害)

    通勤災害は、会社に報告している正しい経路と方法を行っていることが認定要件です。ふさわしくない経路(電車通勤と申告しているに関わらず、自転車通勤で事故に遭うなど)では認定されません。また、会社が緊急と認める経路の場合、通勤災害として認定されます(緊急を要する案件のため、タクシーでの移動中に事故に遭うなど)

  • 第三者行為災害(業務や通勤以外で、第三者の行為によって、生じた災害)

    第三者行為災害とは、通勤中・業務中などの事故において、事故の相手方に加害者が存在する災害を指します。そのため、第三者行為災害は労災保険の対象ではない第三者(事故を起こした相手側)に、損害賠償責任が発生した際に認定されます。

    第三者行為災害の事例としては交通事故や業務遂行中に受ける暴行被害(業務スタッフが安全上の注意喚起を行ったところ、逆上した顧客から暴力を振るわれるなど)など業務に起因して、意図せず発生した災害が対象となります。

    第三者行為災害が発生した際、被害者(社員)には「加害者となる第三者に対する損害賠償請求権」と「労災保険の給付請求権」の両方を取得できる状況になります。しかし、労働者災害補償保険法によって、労災保険給付と民事損害賠償との支払いが重複しないように「求償」と「控除」というルールを設定しています。

    求償とは、政府が被災者の損害賠償請求権を取得し、第三者(保険会社など)に行使する措置(本来、加害者が支払うべき損害賠償を政府が肩代わりし、被害者に労災保険給付として支払う)。

    控除とは、労災保険給付よりも先に第三者による損害賠償が先に行われた際に、その価額の限度で労災保険給付が控除する措置。

事業主(使用者)としての対応・報告義務とは

労働者災害に関わる補償は、企業が全額負担することが義務付けられていまが、従業員が1人でもいる事業所は労災保険の加入が義務のため、補償に関わる費用負担は免除されます。しかし、労働者災害が発生した際、企業は以下の対応を行わなければなりません。

  • 待期期間の賃金支払い

    休業補償給付を申請する際の待期期間である3日間の賃金は企業が補償しなければなりません。休業補償給付金制度では、平均賃金の60%を支払うこととなっていますが、従業員の心理的負担を減らすために全額支給する企業も少なくありません。

  • 労働者死傷病報告書の提出

    労働者災害により従業員の死亡、または休業が発生した場合、速やかに労働者死傷病報告書の提出が求められます。管轄する労働基準監督署に報告・提出しましょう。

  • 安全衛生管理

    事業主(使用者)には、労働者の安全を確保する義務があり、労働安全衛生法に基づく安全衛生管理責任を果たさなければなりません。労災の有無にかかわらず、不備がある場合は刑事責任にも問われるため、今一度、確認しておきましょう。

【参考】厚生労働省 労働災害が発生したとき
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/rousai/index.html

治療の際に必要な様式5号とは

労働者が勤務中に事故に遭い、治療を受けてもらう場合、注意すべきポイントが2つあります。1つは、必要書類の準備です。「療養補償たる療養の給付請求(様式第5号)」は、労災保険を使った治療において、基本の書類となります。必要事項を記入し、医療機関の窓口へ提出してもらえば、労働者に治療費を負担させず、治療を受けてもらうことができます。

記入例に従って、必要項目に記入します。

療養補償たる療養の給付請求(様式第5号) 必要項目

➀労働保険番号
➁労働者の性別・生年月日・負傷または発病年月日
➂労働者の氏名・住所・年齢・職種
➃負傷または発病の時刻・災害発生事実を確認した人の職名と氏名
➄事故の詳細
⑥事業所の名称・所在地・事業主・押印(事業主の証明)
⑦管轄する労働基準監督署名を記入
⑧申請者および事業主(使用者)の押印(署名でも可)

「療養補償たる療養の給付請求(様式第5号)」は労働基準監督署で入手できるほか、厚生労働省のホームページからダウンロード・印刷した用紙も使用できます。迅速な対応・処理をするためにも会社に常備しておきましょう。

次に「労働災害保険指定医療機関」での治療を受けます。指定医療機関以外での治療は手続きが煩雑になる恐れがあるため、指定医療機関で治療を受けてもらいましょう。その際に申請書内にある「医療機関記入欄」に必要情報(指定病院の名称・所在地、傷病の部位および状態)を記入してもらいます。

療養補償たる療養の給付請求(様式第5号) 労働災害保険指定医療機関

立替払いの際に必要な7号様式とは

従業員に労働災害指定医療機関以外の場所で治療を受けさせる場合、「療養補償給付たる療養の費用請求書(様式7号)」が必要です。様式5号との大きな違いは、以下の2点が挙げられます。

  • 治療を受けた際に労働者が、その場で治療費を立て替えなければいけない
  • 治療後に様式7号を労働基準監督署に提出しなければならない

「療養補償給付たる療養の費用請求書(様式7号)」に必要事項を記入し、治療の際に医療機関の窓口へと提出します。所定欄に医療機関の押印と必要事項の記入を確認し、会計を済ませてもらいます。会計の際に、必ず領収書をもらっておくようにしてもらいましょう。

労働基準監督署の窓口に、様式7号と領収書を提出してもらえば、従業員の口座へ負担した治療費が振り込まれます。ただし、治療費は健康保険が適用されず、全額負担となります。その場で支出する治療費が高額になることも伝えておきましょう。

立替払いの際に必要な7号様式とは

健康保険証を使ってしまった!対応方法は?

労災保険での治療を、誤って健康保険証を使って、会計を済ませてしまった場合は診察後すぐに医療機関へと連絡しましょう。医療機関によっては、労災保険扱いに切り替えてくれる場合があるので、まずは治療した医療機関への連絡を促しましょう。

労災保険扱いに切り替えられたら、必要な書類を提出してもらいます。ただし、様式5号では治療費を返還してもらえますが、様式7号の場合、健康保険で免除された費用(治療費の7割)を一旦支払う必要があり、後日返還してもらう流れとなります。

また、診察から時間が空いてしまうと、医療機関での切り替えができなくなってしまいます。その場合は全国健康保険協会や各健康保険組合へ連絡し、健康保険ではなく労災保険扱いである旨を伝えるように指示しましょう。

その後、免除された費用を還付するための書類が届きます。書類を提出すれば、従業員の口座へ治療費が全額返還されます。しかし、手続きから治療費の返還まで約2~3ヶ月かかってしまうため、間違いに気付いたら、すぐに医療機関に連絡してもらいましょう。

治療のために休業・・・休業補償給付とは

けがや病気の状態、治療期間によっては、仕事を休まなければならないケースも出てきます。その場合、労災と認定されていれば、休業中の賃金を受け取れます。休業3日目までは待期期間と呼ばれ、事業主(使用者)が平均賃金の60%を支払われます。4日目以降は「休業補償給付金」の対象となり、1日につき、給付基礎日額の60%が給付金として受け取れます。


給付基礎日額とは、直近3ヶ月間に労働者に支払われた賃金総額を日数で割った額です。基本給だけでなく、残業代なども基本的には考慮されますが、結婚手当のよう臨時手当や賞与(ボーナス)は考慮されません。

また、「休業補償給付金」に加えて、社会復帰を支援するための「休業特別支援金」も受け取れます。こちらは給付基礎日額の20%が支援金として受け取れるので、休業補償給付金と併せて、賃金の80%分の給付金を受け取れます。

まとめ

  • 労災保険の手続きは「労働者から会社へ労働災害の発生報告」⇒「労働基準監督署署長宛に必要書類を提出」⇒「労働基準監督署の調査への対応」⇒「保険金の給付」という流れを取る。
  • 労働災害には「業務災害」、「通勤災害」、「第三者行為災害」の3つがあり、事業主は労働災害が発生した際、待期期間の賃金補償、労働者死傷病報告の提出が義務である。また、安全衛生管理責任を果たさなければならない。
  • 労災保険での治療では、健康保険証を提示せずに受診する。万が一、健康保険証で受診した際は速やかに医療機関に「労災保険での治療」への切り替えを申し出れば、切り替えが可能な場合がある。しかし、様式7号では健康保険で免除された治療費の7割は一旦支払う必要がある。
  • 労災認定がされた場合、休業3日目までは事業者から平均賃金の60%が支払われ、4日目以降は1日につき、給付基礎日額の60%が休業補償給付として支給される。また、社会復帰支援のための「休業特別支援金(給付基礎日額の20%)」も受け取れる。
岡 佳伸|社会保険労務士 岡 佳伸 事務所

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