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労災で保険証を使ってしまったら?労災保険の手続きの流れ

労災が起こった時の手続きの方法や流れをご存知ですか?労災が起こったら労災保険で治療する・・・くらいは漠然と考えていても実際の手続きについて詳しい方は、人事労務担当者であっても多くないかと思います。

今回は実際に労災が起こった際の①診療所、病院でのかかり方②間違って健康保険で治療してしまった時の対応方法、③労災で休んだ時の休業補償を中心に解説して行きます!

治療の際に必要になる様式5号とは?

労働者が勤務中に事故に遭い、治療が必要になった場合、注意すべき点が2つあります。1つ目は、書類を用意することです。「療養補償たる療養の給付請求(様式第5号)」、通称「様式5号」ともいわれ、労災においては最も基本の書類となります。そこに必要事項を記入し、医療機関の窓口へ提出してもらえば、労働者に治療費を負担させず、治療を受けてもらうことができます。記入すべき点としては

  • 労働保険番号
  • 申請者の住所・氏名・年齢などの情報
  • 事故の詳細
  • 事業所の名称や所在地
  • 申請者および事業主の押印(署名でも可)

など。この書類は労働基準監督署へ行けば無料で入手できるほか、厚生労働省のホームページからダウンロードすることができます。念のために会社に常備しておくといいでしょう。

そしてもう1つは「労働災害保険指定医療機関」での治療を受けさせることです。指定医療機関以外で治療を受けさせると労働災害が適用されなくなってしまうというわけではありませんが、指定医療機関で治療を受けさせた方が、手続きがスムーズになります。

立替払いした時に必要、7号様式とは?

もし労働災害指定医療機関以外の場所で治療を受けさせる場合、「療養補償給付たる療養の費用請求書(様式7号)」、通称「様式7号」と呼ばれる書類が必要になります。5号との大きな違いは2点。治療を受けた際に労働者がいったん治療費を立て替える必要があるということ、そして治療後にはその書類を労働基準監督署の窓口へ提出しなければならないということです。

まずは5号様式の時と同じく、書類に必要事項を記入し、治療の際に医療機関の窓口へと提出。そうすると、所定の欄に医療機関の押印と必要事項の記入がもらえますので、それを受け取り、会計を実費で済ませてもらいます。またこの際、必ず領収書をもらっておくように指示しておいてください。

そして労働基準監督署の窓口で書類と領収書を提出してもらえば、口座へ治療費と同じ金額が振り込まれます。ただしこの際に支払う治療費は、健康保険が適用されません。つまり10割の負担になってしまうため、普段よりも高額になりやすいという点も伝えておくべきでしょう。

保険証を使ってしまった!そんな時の対応は?

実は書類の提出は後でいいと勘違いして、保険証を使って会計を済ませてしまったというケースは意外と多いです。その場合、診察後すぐに医療機関へと連絡すれば、労災へと切り替えてくれることがありますので、まずは連絡するよう指示してください。

そして、切り替えの了承が得られれば、改めて先ほどの書類を提出してもらいましょう。ただしこの際、様式5号を提出すれば治療費を返還してもらえるのですが、様式7号を提出した場合は、反対に健康保険で免除された費用(治療費の7割)の支払いが発生します。

しかし、診察から時間があいてしまうと、医療機関での切り替えができなくなってしまいます。この場合は全国健康保険協会や各健康保険組合へ連絡し、健康保険ではなく労災である旨を伝えるよう指示してください。

すると保険で免除された費用を納付するための用紙が届くので、それを支払えば、口座へ治療費が全額返還されます。しかしこの手続きには2~3か月ほどかかるので、やはりすぐに医療機関へ連絡する方が無難です。

治療のために休業した時・・・休業補償給付とは?

ケガや病気の状態、治療期間によっては、仕事を休まなければならないというケースも出てくるでしょう。そういった場合でも、労災が認められているのであれば、休業中の賃金の支払いが発生します。休業3日目までは待機期間と呼ばれ、事業主が平均賃金の60%を支払うことになるのですが、これが4日目以降になると、「休業補償給付」の対象となり、1日につき給付基礎日額の60%の金額を給付金として受け取ることができるようになります。

給付基礎日額とは、直近3か月間に労働者に支払われた賃金総額を日数で割った額です。基本給だけでなく、残業代なども基本的には考慮されますが、結婚手当のよう臨時手当や賞与(ボーナス)などは考慮されずに算出されます。

また、それに加えて「休業特別支援金」といって、社会復帰を支援するための給付金もあります。こちらは給付基礎日額の20%となっているので、先ほどの休業補償給付と併せると、実質80%分の給付金を受け取ることができます。これなら安心して治療に専念してもらえますね。

まとめ

ウチに限って労災事故は起らない・・・そういう風に考えている人事労務担当者の方も多いかと思います。例えば「飲食店で包丁で指を切った」「事務所内の配線に躓いて転んで足を捻じった」「階段を踏み外して腰を打った」等々も立派な労災事故です。

ちょっとしたケガだからといって、保険証を使って健康保険で済ませていることも多いかと思いますが、後で調査が入り、遡って「労災事故」とされて治療費用の返還を求められることがあります。いざという時に慌てないように、労災保険での手続きの流れをしっかり勉強しましょう!

岡 佳伸|社会保険労務士 岡 佳伸 事務所

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