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会社が行なう退職手続きの流れとは?必要書類や注意点についてわかりやすく解説!

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従業員が退職する際に会社側が行う必要がある雇用保険の手続きとして、退職者の被保険者の資格を喪失するため、雇用保険被保険者資格喪失届を提出する必要があります。

また、退職者の要望によっては、基本手当の受給ができるよう、離職票の発行が必要な場合は、雇用保険離職証明書の提出もあります。

この退職者の要望に合わせて発行の有無があるのは、雇用保険の資格喪失手続き独特のものです。
わかりづらい「雇用保険被保険者資格喪失届」「雇用保険離職証明書」「離職票」の違いと、
電子申請のメリットと合わせて説明します。

この記事でわかること・結論

  • 会社側が退職手続きを行なう際の必要書類
  • 退職手続きを行なう際の注意点
監修者
加藤社会保険労務士事務所 加藤 一徹

日本大学卒業後、医療用医薬品メーカーにて営業(MR)を担当。 その後人事・労務コンサルタント会社を経て食品メーカーにて労務担当者として勤務。

雇用保険の【資格喪失手続き(会社側)】とは?

事業主は、雇用保険被保険者である従業員が退職するにあたり、退職者を会社の雇用保険から抜くための手続きを行う必要があります。

また、届出を行う際に重要な注意事項として「離職票交付希望の有無」があります。

従業員が退職する場合の手続きの流れは次のようになります。雇用保険被保険者資格喪失届を提出するとともに、退職者が離職票の交付を希望する場合、会社は退職の翌日より10日以内に33枚複写となっている雇用保険被保険者離職証明書をハローワークに届け出る必要があります。

上記の届出を行うとハローワークから雇用保険被保険者資格喪失届に対して「離職票1」が発行されます。

これらの離職票は、退職者が失業中の生活や求職のために受給する基本手当の支給申請を行う際に必要な書類となります。

また、3枚複写の雇用保険被保険者資格喪失届の3枚目が退職者に渡す「離職票2」となります。会社は届出にあたり、そこに必要事項を記入します。

つまり、会社は退職者が基本手当を受給することを希望する退職者に対して、雇用保険被保険者資格喪失届と雇用保険被保険者離職証明書をハローワークに提出し、2種類の離職票を退職者に交付する手続きを忘れずに行う必要があるのです。

【離職票(離職票1・離職票2)】とは?

それでは改めて、退職後の基本手当受給に必要な「離職票」について詳しく説明します。

前項で説明したとおり、離職票には「1」と「2」があり、「離職票1」は、雇用保険被保険者資格喪失届をハローワークに提出すると、それとひきかえで渡されるものです。

これには被保険者番号のほか、資格取得日・喪失日、認定日や賃金日額、基本手当を振り込む金融機関の口座番号などが記載されています。

一方、3枚複写の雇用保険被保険者離職証明書の3枚目が「離職票2」となります。

これには、退職前1年間の賃金の支払状況や離職理由が記載されています。この2種類の離職票が揃ってはじめて基本手当の支給申請が可能になります。

なお、「離職票1」の個人番号欄は、基本手当を受給する退職者(申請者)本人が申請時にハローワークの窓口で記入することになっています。その点についても認識の誤りがないよう留意しておきましょう。

【雇用保険被保険者離職証明書】の注意点は?

次は、煩雑な雇用保険被保険者離職証明書の記載にあたり、特に3つの注意点について説明します。

「雇用保険被保険者離職証明書」注意点

  1. 賃金支払対象期間の基礎日数が11日以上ある月が少なく、1枚の離職証明書で記載できない場合

    離職証明書の記載においては、「賃金の支払いの基礎となる日数が11日以上=1カ月」となりますが、賃金が日払いなどのケースでは1枚の離職票では足りないことがあります。その場合は別葉の離職証明書用紙を続紙とし、次のように記載します。

    【記載方法】
    ・表題の右に「続紙」と記載する
    ・事業主の住所・氏名と8~14欄のみ記載する
    ・不要な記載欄は二重線で抹消し、2段目から記載する

  2. 雇用保険離職証明書の証明期間内に賃金締切日に変更があった場合

    賃金締切日が変更された月の備考欄(13欄)に「賃金締切日変更」と記載します。

  3. 31日月の末日退職のため、離職日の翌日に応答する日が各月にない場合

    離職日の翌日に応答する日がない月の月日欄には、その月の末日(喪失応当日)を記載します。

    たとえば、3月31日離職の場合、次のように書きます。

    【例】
    ・離職日の翌日:4月1日
    ・3月(離職月):3月1日~3月31日
    ・2月(離職前月):2月1日~2月28日

    また、疾病や出産などで長期休業した場合や雇用形態の違いなど、退職者の状態によっても記載内容が異なる場合があるため、注意が必要です。

電子申請が可能な政府の総合窓口【e-Gov】

近年はe-Govなどから電子申請が可能な届出が増えています。

雇用保険被保険者資格喪失届や離職票2(雇用保険被保険者離職証明書)も、2016年からは電子申請による届出ができるようになりました。

特に離職票2の記入は、算定対象期間や賃金支払対象期間、賃金額などの記入作業が煩雑でわかりにくいのですが、入力データのチェックを合わせて行える電子申請の活用は、作業効率を高めると同時に間違いのない正確な手続きを進めるうえでも有効な手段となります。

また、電子申請を行う労務システムが給与システムや勤怠システムと連動したものであれば、データの吸い上げなどがより簡単になります。なお、電子申請による雇用保険の具体的な手続きについては、こちらのページをご覧ください。

【参考】ハローワークインターネットサービス 雇用保険の具体的な手続き

【雇用保険・離職票】まとめ

会社側の雇用保険の退職手続きは、まず必ず提出するものが「雇用保険被保険者資格喪失届」、退職者である従業員が基本手当の受給のためなどで「離職票」の発行を希望する場合に、あわせて提出するものが「雇用保険離職証明書」、その離職証明書をもとにハローワークが発行するものが「離職票」となります。

各書類の違いをご理解いただけましたでしょうか?

退職手続きは書類の記入方法が煩雑でわかりづらいため、特に今回の記事で指摘したことに注意しながら慎重に手続きを行う必要があります。

しかし、電子申請による届出を行うことで、それらの手続きの簡略化を図ることができるだけでなく、記入の間違いなどを減らすことも可能です。作業の効率化を図るうえでも、積極的に電子申請を利用することをおすすめします。

加藤社会保険労務士事務所 社会保険労務士 | 加藤 一徹
人事・労務コンサルタント会社を経て食品メーカーにて労務担当者として勤務。
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