この記事でわかること・結論
- 2020年からの基礎控除改正内容
- 基礎控除に必要な書類のダウンロード先
この記事でわかること・結論
2020年1月の基礎控除改正により、2020年(令和2年)の年末調整業務の一部手続きが変更されました。年末調整の基礎控除変更に伴い、他の要件も変更されています。
2024年(令和6年)現在では、合計所得金額2,500万円以下の従業員、扶養親族のいる従業員は基礎控除の対象となっています。そこで今回は、年末調整の基礎控除について最新の情報をまとめます。
目次
基礎控除とは、納税者の所得額から差し引かれる所得控除の一種です。課税対象の所得額が減り、節税につながります。
基礎控除のほかに13種類の所得控除があります。原則として、申告のない限り控除を受けることはできません。
対象 | 控除額 | |
---|---|---|
雑損控除 | 災害や空き巣の被害に遭った場合 | 差引損失額−総所得金額等×10% |
医療費控除 | 1年間で10万円以上の医療費がかかった場合 | ・支払った医療費−10万円 ・支払った医療費−総所得金額等×5%(申告所得200万円以下の場合) |
社会保険料控除 | 健康保険料、年金保険料、介護保険料等を負担している場合 配偶者、扶養親族分を含む場合 |
1年間に支払った全額 |
小規模企業共済掛金控除 | 小規模企業共済、個人型拠出金に加入している場合 | 1年間に支払った全額 |
生命保険料控除 | 生命保険、個人年金、介護医療の保険料を支払った場合 | ・支払った額から算出 ・各4万円、合計12万円が上限 |
地震保険料控除 | 地震保険等の損害保険料を支払った場合 | ・支払った額から算出 ・上限5万円 |
障害者控除 | 本人もしくは家族が障害者の認定を受けている場合 | ・27万円 ・特別障害者は40万円 ・同居特別障害者は75万円 (それぞれ1人につき) |
寄附金控除 | 国、地方公共団体、NPO法人等に寄付した場合 | ・特定寄附金の額−2,000円 ・総所得金額等×40%ー2,000円 ・上記の多い方 |
寡婦(寡夫)控除 | 本人が配偶者と離婚または死別した場合 | ・27万円 ・特別の寡婦は35万円 |
勤労学生控除 | 本人が勤労学生に該当する場合 | 27万円 (合計所得金額65万円以下等の条件あり) |
配偶者控除 | 本人に配偶者がいる場合 | ・38万円 ・70歳以上の配偶者は48万円 |
配偶者特別控除 | 本人の所得金額が1,000万円以下で、配偶者の合計所得金額が38万円〜76万円未満の場合 | 原則38万円 |
扶養控除 | 扶養親族のいる場合 | ・1人につき原則38万円 ・年齢・同居の有無で38万円〜63万円 |
基礎控除額は38万円と33万円の2種類ありますが、それぞれ使用する場面が異なります。
基礎控除と給与所得控除の合算を超えた分が課税対象となります。
2020年(令和2年)1月1日〜12月31日から基礎控除が改正されました。
改正のポイント
個人の合計所得金額 | 改正前控除額 | 改正後控除額 |
---|---|---|
2,400万円以下 | 38万円 | 48万円 |
2,400万円超2,450万円以下 | 32万円 | |
2,450万円超2,500万円以下 | 16万円 | |
2,500万円超 | 0万円 |
個人の合計所得金額 | 改正前控除額 | 改正後控除額 |
---|---|---|
2,400万円以下 | 33万円 | 43万円 |
2,400万円超2,450万円以下 | 29万円 | |
2,450万円超2,500万円以下 | 15万円 | |
2,500万円超 | 0万円 |
基礎控除は、原則として全従業員が対象です。ただし、合計所得金額を把握するため従業員に「給与所得者の基礎控除申告書」を提出してもらう必要があります。
令和5年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書を使用します。
配偶者・扶養親族等の合計所得金額の要件も見直されています。それぞれの項目で10万円引き上げられています。
扶養親族等の区分 | 合計所得金額要件 | |
---|---|---|
改正前 | 改正後 | |
同一生計配偶者及び扶養親族 | 38万円以下 | 48万円以下 |
源泉控除対象配偶者 | 85万円以下 | 95万円以下 |
配偶者特別控除の対象となる配偶者 | 38万円超123万円以下 | 48万円超133万円以下 |
勤労学生 | 65万円以下 | 75万円以下 |
2020年(令和2年)の改正により基礎控除額が10万円引き上げられ、ほとんどの従業員が変更の対象となりました。
改正による変更点
想定できるトラブルを防ぐため、人事労務担当者の方は、適切な対処を行っておきましょう。
労務・人事・総務管理者の課題を解決するメディア「労務SEARCH(サーチ)」の編集部です。労働保険(労災保険/雇用保険)、社会保険、人事労務管理、マイナンバーなど皆様へ価値ある情報を発信続けてまいります。
詳しいプロフィールはこちら