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雇い入れ時健康診断とはいつまでに何をする?費用・対象者も解説

雇い入れ時健康診断とはいつまでに何をする?費用・対象者も解説

この記事でわかること・結論

  • 雇い入れ時健康診断の費用と実施時期
  • 雇い入れ時健康診断の対象者と省略可能なケース
  • 雇い入れ時健康診断の検査項目

労働者を雇い入れている事業者は、労働安全衛生法などにより「雇い入れ時健康診断」を実施することが義務付けられています。

他にも義務付けられている健康診断として定期健康診断などがありますが、それぞれの健康診断は実施頻度・対象者・検査項目などが異なっています。

そこで今回は、新しく従業員を雇用する前後に実施しなければいけない「雇い入れ時健康診断」について説明します。何をいつまでにするのか、省略していいケースもご紹介するのでぜひ参考にしてください。

雇い入れ時健康診断とは?

入社前後に義務付けられている健康診断のひとつ

企業は対象となる従業員を新しく雇い入れる際、雇い入れの直前または直後に、医師による健康診断(雇い入れ時健康診断)を実施することが義務付けられています。

雇い入れ時健康診断の費用相場はおおよそ1万円程度で、費用は基本雇い入れる企業側が支払います。

しかし、医師による健康診断を受けてから3カ月以内の人を雇い入れる場合は、雇い入れ時健康診断を省略できます。省略するには、法令で定められた検査項目についての健康診断の結果を証明する書面の提出が必要です。

このことから、雇い入れ時健康診断を省略しない場合は、入社の3か月前後には健康診断を受けるようにしましょう。なお、この健康診断はあくまでも採用後の適正な配置や健康管理のために行うものであり、採用選考を目的として行うものではありません。

従業員は年に1度の定期健康診断を受けるのが義務

一人でも労働者を雇っている事業主は一年以内ごとに一度、医師による定期健康診断を実施する法的義務があります。

中でも、常時50人以上の従業員がいる事業者は、所轄の労働基準監督署長に「定期健康診断結果報告書」を提出しなければなりません。

以上のとおり、従業員に対して行う健康診断には主に

  • 年一度の「定期健康診断」
  • 新しく雇い入れる人に対して行う「雇い入れ時健康診断」

の2つがあります。事業者は両者を混同しないよう気をつけましょう。

雇い入れ時健康診断を受ける義務がある人

雇い入れ時健康診断の対象となる人は「常時使用する労働者」と定められています。常時労働者とは、次の2つの条件をいずれも満たす者を指します。

上記1の条件の”以下の者”とは、下記の方を指します。

1,2 深夜業などの特定業務に常時従事する「特定業務従事者」は6カ月以上

また「常時使用する労働者の条件」である2の条件に満たない短時間労働者であっても、1の条件に該当し1週間の所定労働時間が通常の労働者の約2分の1以上の場合は、常時使用する労働者とみなし、雇い入れ時健康診断を行うことが望ましいとされています。

雇い入れ時健康診断では何をする?定期健康診断との違い

雇い入れ時健康診断では11項目を検査

次は、雇い入れ時の健康診断の検査項目について説明します。雇い入れ時健康診断では、以下の検査項目をすべて受ける必要があります。

定期健康診断は上記に加えて「喀痰検査」を行います。しかし労働者の年齢等により、医師の判断で省略できる項目があります。

定期健康診断は省略できる検査あり!その検査項目と対象者

省略できる検査項目 対象年齢 その他の条件
身長 20歳以上 特になし
貧血検査
肝機能検査
血中脂質検査
血糖検査
心電図検査
35歳を除く40歳未満 特になし
胸部X線検査 25歳、30歳、35歳、35歳 結核定期検診対象者
3年ごとのじん肺定期健診対象者は医師の判断による
腹囲 35歳を除く40歳未満 妊婦
BMI20未満
BMI22未満で腹囲計測済みの場合は医師の判断による
喀痰検査 特になし 胸部X線検査で病変等の恐れがない者

以上のとおり「省略可能な検査があるか否か」が、雇い入れ時健康診断と定期健康診断の大きな違いとなります。

雇い入れ時健康診断後に事業主が取り組むべきこと

最後に雇い入れ時健康診断を含む、健康診断実施後に事業者が取り組むべきことについて説明します。

健康診断実施後の取組事項

  • (1) 健康診断の結果を記録する
    ・健康診断の結果が出たら「健康診断個人票」を作成する
    ・「健康診断個人票」をそれぞれの健康診断ごとに定められた期間保存する
  • (2) 健康診断結果について医師等からの意見を聴取する
    ・検査結果で異常の所見がある労働者がいる場合、医師に健康維持のために必要な処置について聞く
  • (3) 健康診断実施後の措置を行う
    ・(2)の結果、医師が「措置の必要あり」と認める場合、作業の転換や労働時間短縮などを行う
  • (4) 健康診断結果を労働者に通知する
    ・健康診断を受けた労働者全員に結果を通知する
  • (5) 健康診断の結果にもとづき保健指導を行う
    ・特に健康保持が必要な労働者に対し、医師や保健師による保健指導を行う
  • (6) 所轄労働基準監督署長への報告
    ・健康診断の結果を期限内に所轄労働監督基準所長に提出する
    ・「雇い入れ時健康診断」の結果は提出不要

雇い入れ時健康診断の結果を所轄労働基準監督署長に提出する義務はないため、上記(6)については省略できます。

しかし(1)~(5)については定期の健康診断と同様に行う必要があるため、結果を提出する必要がなくても上記の取り組みをしっかりと行うことが重要となります。

まとめ

今回は雇い入れ時健康診断の概要や対象者、雇い入れ時健康診断を省略できるケースなど、事業主が認識しておくべき事項について解説しました。

また、雇い入れ時定期健診と混同しやすい定期健康診断ですが、

  • 労働基準監督署長に結果を提出する義務の有無
  • 健康診断の検査項目
  • 労働者の年齢等により省略できる検査項目の有無

といった違いがあります。その点に留意したうえで、対象者全員もれなく「雇い入れ時健康診断」を行うよう心がけましょう。

監修者萩原 修

萩原労務管理事務所

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