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HRテックとは?人事領域の注目トレンドをわかりやすく解説

皆様は「HRテック」という言葉をご存じでしょうか。すでに知っている、あるいは会社で取り入れようとしている方もいらっしゃるでしょう。しかし、名称のみ聞いたことがある程度で詳しくは知らない、あるいはまったく知らないという方も多いのではないでしょうか。

ここでは、人事に係る業務の革新である「HRテック」について、改めてご紹介致します。

HRテックとはどんなものを指すのか

HRテック(Human Resources Technology)は、クラウドを始めとして、AIやビッグデータ解析といったテクノロジーを活用して、採用・教育育成・評価・配置といった人事業務に効率化と質の向上を提供するサービスのことです。
その範囲は給与計算などの効率化や業務改善はもちろん、採用状況や従業員情報を一元管理、かつ分析することで適切な人材育成と配置に関する指針を打ち出すといったことまで、幅広いものになっています。ここ数年でHRテックの注目は高まり、シリコンバレーだけでもHRテックに関する企業は120社を超えるといわれています。

HRテックの導入で期待できることは?

今まで人事に携わる業務は、社会保険や労働保険などの書類作成、整理業務、またそれにともなう総務的業務が主流でした。技術革新によってAIやデータなどのテクノロジーを活用した分野もありますが、人事業務においては給与計算、勤怠管理システムなどに留まっていました。

しかし、HRテック(Humam Resouces Technology)の活用によって人材育成や採用活動はもちろん、人事評価まで、AIやデータが行えるようになりました。従来であれば人事担当者の経験と勘に頼ってきた領域に、テクノロジーを応用できるようになったのです。
今までであれば仕事の進め方についても、人事部門では機密性の高い情報を扱うことから、一部の人員異動もすることなくを行わず、固定化して仕事を進めていた例が数多くありました。しかし企業の競争力の源泉は人材であるものの、さまざまな面で働き手が多様化しているなか、最適な人事を行い、従業員が活躍できる環境を整えていくためには、勘と経験のみでは限界があるといえるでしょう。

今後はHRテックの導入によって業務を標準化することにより、日本の産業が遅れを取っていた業務効率化や生産性の向上が期待できます。

日本におけるHRテックの導入について

現在の人事業務において、HRテックの急速な普及ができる環境は整いつつあります。その大きな要因としては、クラウドサービスの普及が挙げられるでしょう。
従来のHRテックでは、企業がライセンスを購入したソフトウェアによって、自社に設置したサーバーで人事データを管理する方法が中心でした。そのため新しいソフトの開発にともなって更なる投資をすることに躊躇してしまうことや、データ移行の問題が発生してしまうことがあるため、すぐに導入することは困難でした。
ところがクラウド型のサービスを利用することで、初期投資を抑えながら常に新しいバージョン、機能を使えるようになったのです。

またクラウドサービスの普及に合わせたスマートフォンやタブレット端末の活用の拡大、ビッグデータを容易に扱い、分析できるテクノロジーの存在などが背景にあります。たとえば従業員が個人情報を入力すると、人事担当者が何も行わなくても社会保険の加入手続きができる、というツールもできています。

これまでは、新卒の一括採用、年功序列など人の流動性の低さなどから、HRテックの導入がされていなかった企業も、今後は変化しつつある労働環境に対応していくため、HRテックを導入していく必要があるかもしれません。

HRテックの役割とはどのようなものか

HRテックの役割は3つに分けられます。まず1つ目の役割として、人事データの一元管理と可視化、分析が挙げられます。人事データの一元管理と可視化により、たとえば、採用業務の際の応募者データの適切な管理から入社に係る、迅速で正確な対応が可能になります。さらにデータを作成することはもちろん、分析することで人材の適正配置に活かすことが期待できます。

次に2つ目の役割として、定型業務の削減と効率化という役割があります。従来であれば人事担当者が行っていた業務をテクノロジーによってカバーするため、業務の効率化と提携業務を削減することが可能です。

最後、3つ目の役割は、従業員とのコミュニケーションによる組織の活性化と、従業員満足度の向上です。従業員から納得される人事評価や配置を行い、必要なときに必要な労務手続きが行われることで満足度が改善され、結果として会社への帰属意識や貢献意識を高めることが期待できます。

このようにHRテックを活用することで、人事業務の煩雑な負荷を軽減し、あるいは積極的に対応できるようになります。HRテックの本質的な目的とは、業務内容等の軽減だけではなく、募集や採用計画の企画立案など、人や組織の専門家だからこそできる業務に集中するために必要な時間と労力を生み出すことができるのです。HRテックはその組織的、人的なサポートをしてくれるでしょう。

まとめ

テクノロジーの進化により、広がりを見せるHRテックの存在は、人事領域の業務改善につながることを、お分かりいただけたのではないでしょうか。

HRテックは煩雑な日常業務だけではなく、人事評価にまでも活用でき、従業員の満足度の向上にも貢献します。

従来の人間による業務に依存していた時代より先を行く、付加価値を生み出せるHRテックのツールを、上手に取り入れてみてはいかがでしょうか。

加藤社会保険労務士事務所 社会保険労務士 | 加藤 一徹
人事・労務コンサルタント会社を経て食品メーカーにて労務担当者として勤務。
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