経費精算は経理業務のなかでも高い頻度で発生するため、課題の多い業務でもあります。
経費精算は、企業の利益に直接的に関わる業務ではないため軽視されがちですが、課題を放置してしまうと、生産性が下がり事業に影響をおよぼす恐れも。
経費精算の課題を解決し、効率化を図るためには、なにかしらの対策をとることが大切です。
本記事では経費精算の課題、基本的な業務の流れ、効率化する方法について解説します。
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目次
まず、経費とは従業員が事業遂行のために支払う金銭のことで、企業が収益を得るためにかける費用とは異なります。
経費精算とは、従業員が業務遂行のために立替払いした経費を申請し、払い戻しを受けることです。
経費精算は、大きく小口精算・交通費精算・旅費精算の3種類に分けられます。
自社の事業に関わるものは経費として精算できますが、業務と関係のない従業員がプライベートで使用するものは経費として認められません。
経費精算の基本的な流れは、以下のとおりです。
備品購入や接待飲食代、交通費など、業務上必要な経費を従業員が立替払いします。
従業員は立替払いした経費が、事業に関連する活動のために支払われたことを証明するために、領収書をもらいます。
領収書を紛失してしまった場合は、レシートでの代用も可能です。
発行者、宛名、日付、金額、但し書き(購入した品物の名称など)が記載されているかしっかりと確認します。
立て替えた経費を精算してもらうためには、領収書など必要書類を添付したうえで、経費精算書類を作成しなければなりません。
経費精算書には、いつ、どこで、なにのために、どのようなものに経費を利用したのか明記します。
たとえば、旅費精算であれば、日付、行先、正確な金額(交通費+宿泊費+そのほか必要経費)、目的などを記載することが必要です。
そして、経費精算書には、業務上必要であることを証明するため、領収書またはレシートを添付したうえで提出します。
経費精算書は、まず管理者に提出して確認・承諾を得てから、経理担当者へ提出する流れが一般的です。
経理担当者のもとに経費精算書が届くと、従業員が提出した申請書の内容と領収書またはレシートを照らし合わせたうえで確認作業がおこなわれます。
特に問題なければ、払い戻し作業が進められますが、抜け漏れや不備などがある場合は、従業員へ差し戻しされます。
経理部門が内容を確認して問題がなければ、立替払い分の払い戻しがおこなわれます。払い戻しの期日や方法については、企業の規定に従います。
ここまでが経費精算の一連の流れです。
経費精算における課題は、主に次の3つです。
経費精算は頻度が多く、経理担当者は多くの書類を処理する必要があるため、人為的なミスが起こりやすい傾向にあります。
特に経理担当者が手作業で集計作業や帳票への入力作業をおこなう場合は、手作業ゆえの入力ミスや計算ミスのリスクは避けられません。
万が一、ミスが起きてしまうと、再計算や修正作業など余分な作業が発生し、時間を浪費してしまいます。
経費精算をおこなう際は、従業員が立て替えた分の領収書やレシートを添付したうえで経費申請書を提出してもらいます。
提出された経費申請書は、「必要書類が添付されているか」、「重複している申請がないか」、「社内規定に反していないか」など、経理担当者が内容を確認します。
もし申請書類の抜け漏れや、従業員への確認が必要な場合は、差し戻しをしなければなりません。
この確認作業が多いと、経理担当者の業務負担が増加してしまいます。
経理精算が多い企業の経理担当者の作業量は膨大です。
そして、一連の流れを基本的に目視確認と手作業でおこなうため、多くの手間と時間がかかります。
あまりにも作業量が多いと、経理担当者は経費精算に多くの時間を費やすこととなり、生産性の低下にもつながります。
経費精算は、以下の方法で効率化を狙えます。
経費精算を効率よくおこなうためには、社内ルールの徹底が欠かせません。
経費精算のルールを明確にしておくことで、申請書類の抜け漏れなどの差し戻しなどを減らせるだけでなく、無駄遣いや従業員間の不公平感を減らすことも可能です。
経費精算に関する社内ルールの具体例をご紹介します。
ぜひ、自社に合った経費精算の社内ルールを設定してみてください。
経費精算の負担が大きくなっているにもかかわらず、人員の補充や業務量を減らすことが難しい場合は、アウトソースすることもひとつの手段です。
経費精算を外部に委託することで、業務量の軽減や人員の補充が不要となり、社内の負担軽減にもつなげられます。
経費精算をアウトソースする際は、外注費が発生しますが、作業に対する料金を支払うだけで済むため、コストの削減が可能です。
経費精算システムとは、経費精算業務に関わる作業を電子化することで効率化を図るシステムです。
たとえば、これまで手作業でおこなっていた交通費精算を、交通系ICカードの読み取り機能の履歴利用や、乗換案内機能を使用して駅を選択するだけで、交通費を自動計算できます。
さらに、すべての申請がネット上で完結するため、どこにいても経費精算を実施でき、ミスや不正を防ぐ機能も搭載されているため、経費の無駄を削減できるメリットも。
莫大な情報を高速で処理できるため、特に経費精算の業務量が多い企業では積極的にシステムの導入を検討してみてください。
経費精算の課題や基本的な業務の流れ、効率化する方法について解説しました。
経費精算は頻繁におこなわれる業務であるため、課題の多い業務でもあります。
主な課題は、入力ミスや計算ミスが起こりやすい、申請書類の抜け漏れなどの差し戻しが起こる、経理担当者の作業量が多く手間がかかるなどです。
経費精算を効率化するためには、まず経費精算に関する社内ルールを徹底することが欠かせません。
そのほかに経費精算をアウトソースする、経費精算システムを導入する方法もあるため、自社に適した方法で、経費精算の効率化を図ってみてください。