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年末調整の時期に、従業員一人一人の給与明細等を確認しながら作業を進めて大変な苦労をした経験はありませんか?この作業は「源泉徴収簿」という帳簿をつけておくことで、よりスムーズに行うことができます。
今回は、源泉徴収簿の存在意義や源泉徴収票との違いに加え、源泉徴収簿の作成方法や取り扱い方法についても説明します。
目次
源泉徴収簿とは、毎月支給した給与や賞与の源泉徴収税額、従業員の扶養親族等の状況などを記入する帳簿です。
源泉徴収簿は、年末調整で発行する源泉徴収票の基礎となる重要な帳簿であり、年末調整の計算はそれをもとに行います。そのため、国税庁からは「給与所得・退職所得に対する源泉徴収簿」の書式が提供されています。国税庁のホームページではその書式をダウンロードできるほか、詳しい記入方法についての説明を読むこともできます。
しかし、源泉徴収簿は法令で定められた帳簿ではないため、国税庁提供の書式でなくても問題はありません。たとえば、毎月の源泉徴収税額が正確に記録されている給与台帳であれば、それをもとに源泉徴収簿を作成することも可能です。
源泉徴収票と源泉徴収簿は1文字違いであるため、両者を混同する人も多いでしょう。そこで、源泉徴収票と源泉徴収簿の違いについて詳しく説明します。
源泉徴収票とは、1年分の給与、賞与、源泉徴収税額などを集計して従業員に交付する帳票であり、所得税法で定められた「会社が発行する所得税証明書」です。会社は従業員に対して翌年1月末までに源泉徴収票を発行する義務があり、退職者には退職後1ヵ月以内に源泉徴収票を発行する必要があります。
一方、源泉徴収簿は「源泉徴収票を不備なく発行するために作る帳簿」です。源泉徴収票の発行をはじめとする年末調整関係の処理を正確に行うためにも、源泉徴収簿には毎月の給与、賞与、源泉徴収税額を正確に記入しておくことが重要となります。
なお、基本的に源泉徴収簿を閲覧できるのは会社の関係者のみで、従業員はもちろん、国税庁にも提出する義務はありません。
源泉徴収簿の目的や源泉徴収票との違いがわかったところで、今度は源泉徴収簿の具体的な作成方法について知っておきましょう。ここでは、国税庁発行の「平成30年給与所得・退職所得に対する源泉徴収簿」で説明します。作成の手順は以下のとおりです。
平成31年(2019年)分給与所得・退職所得に対する源泉徴収簿(PDF/487KB)
以上の手順で源泉徴収簿への記入を行い、それをもとに年末調整を行うことになります。
最後に、源泉徴収簿を活用して年末調整を行う手順を説明します。
源泉徴収簿自体はあくまで内部書類ですので、税務署に提出する必要はありません。ただし、源泉徴収簿を年末調整の根拠として利用した場合、7年間保存する決まりとなっています。
なお、源泉徴収簿は個人情報が記載された書類であるため、取り扱いは慎重に行わねばなりません。法律で定められた保存期間、または企業が独自に決めた保存期間を経過した際には、速やかに処分する必要があります。
源泉徴収簿の管理のずさんさが原因で、従業員の個人情報が漏れるようなことがあっては大変です。それを防ぐためにも、源泉徴収簿の管理にはくれぐれも注意しましょう。
源泉徴収簿は法令で定められていない帳簿です。
そのため、源泉徴収票と違い国税庁や従業員に提出する必要はありません。とはいえ、年末調整の処理をスムーズに行うために必要な書類であることは間違いありません。
また、国税庁発行の源泉徴収簿は記入すべき欄が多いため、記入漏れや金額の計算ミスなどに注意する必要があります。今回ご紹介した源泉徴収簿の作成方法に加えて国税庁のホームページに記載されている説明も確認したうえで、慎重に源泉徴収簿への記入を行いましょう。
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