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労働者を雇い入れる時は、「雇い入れ時健康診断」を行いましょう

投稿日:

人事労務管理

労働者を雇い入れる時は、「雇い入れ時健康診断」を行いましょう

労働者を雇い入れている事業者は、労働安全衛生法などにより「雇い入れ時健康診断」「定期健康診断」「特定業務従事者健康診断」「海外派遣労働者健康診断」「給食従事者の検便」「有害業務従事者等特殊健康診断」を実施することが義務付けられています。
これらの健康診断は実施頻度、対象者、診断項目、事後措置などが異なっています。

今回は労働者の雇用前後に実施する「雇い入れ時健康診断」について説明します。

「雇い入れ時健康診断」ってどんなもの?

新しく雇い入れる従業員については、雇い入れの直前、または直後に「雇い入れ時健康診断」を実施する必要があります。この健康診断はあくまでも採用後の適正な配置や健康管理のために行うものであり、採用選考を目的として行うものではありません。

しかし、医師による健康診断を受けてから3カ月以内の人を雇い入れる場合はその限りではありません。法令で定められた検査項目について、健康診断の結果を証明する書面の提出があれば、「雇い入れ時健康診断」を省略できます。検査項目については後ほど詳しく説明します。

一方、一人でも労働者を雇っている事業主は、一年以内ごとに一度、医師による定期健康診断を実施する法的義務があります。中でも、常時50人以上の従業員がいる事業者は、所轄の労働基準監督署長に「定期健康診断結果報告書」を提出しなければなりません。

以上のとおり、従業員に対して行う健康診断には、主に年一度の定期健康診断と、新しく雇い入れる人に対して行う「雇い入れ時健康診断」があります。事業者は両者を混同しないよう気をつけましょう。

パートやアルバイトも「雇い入れ時健康診断」の対象者

「雇い入れ時健康診断」の対象となる人は、「常時使用する労働者」と定められています。常時労働者とは、次の1と2の要件のいずれも満たす者を指します。

常時使用する労働者

1.雇用期間の定めがない労働契約により雇用されている者(以下の者を含む)

  • 雇用期間の定めがあるが契約期間が1年以上の者
  • 雇用期間の定めがあるが、契約の更新により1年以上(※1)使用される予定の者
  • 雇用期間の定めがあるが、契約の更新により1年以上(※2)引き続き使用されている者

※1、2 深夜業などの特定業務に常時従事する「特定業務従事者」は6カ月以上

2.1週間以上労働時間が同じ業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3以上の者

また、上記2の要件に満たない短時間労働者であっても、上記1の要件に該当し、1週間の所定労働時間が通常の労働者の約2分の1以上の場合は「常時使用する労働者」とみなし、「雇い入れ時健康診断」を行うことが望ましいとされています。

「雇い入れ時健康診断」の健康診断項目とは

次は、「雇い入れ時の健康診断」の検査項目について説明します。

「雇い入れ時健康診断」では、以下の検査項目をすべて受ける必要があります。

検査項目

  1. 既往症および業務歴の調査
  2. 自覚症状、他覚症状の有無の検査
  3. 身長、体重、腹囲、視力、聴力(1,000ヘルツ、4.000ヘルツ)の検査
  4. 胸部エックス線検査
  5. 血圧の測定
  6. 貧血検査(血色素量、赤血球)
  7. 肝機能検査(GOT、GPT、ガンマーGTP)
  8. 血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、血清トリグリセライドの量)
  9. 血糖検査
  10. 尿検査(尿中の糖および蛋白の有無)
  11. 心電図検査

一方、定期健康診断は上記に加えて「喀痰検査」を行います。しかし、労働者の年齢等により、医師の判断で省略できる項目があります。

定期健診で省略できる検査項目と対象者

  • 身長(20歳以上)
  • 貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査、心電図検査(35歳を除く40歳未満)
  • 胸部X線検査(25歳、30歳、35歳、35歳、結核定期検診対象者、3年ごとのじん肺定期健診対象者は医師の判断による)
  • 腹囲(35歳を除く40歳未満、妊婦、BMI20未満、BMI22未満で腹囲計測済みの場合は医師の判断による)
  • 喀痰検査(胸部X線検査で病変等の恐れがない者)

以上のとおり、省略可能な検査があるか否かが、「雇い入れ時健康診断」と定期健康診断の大きな違いとなります。

健康診断実施後に事業主が取り組むべきこと

最後に、「雇い入れ時健康診断」を含む、健康診断実施後に事業者が取り組むべきことについて説明します。

健康診断実施後の取組事項

  1. 健康診断の結果を記録する
    ・健康診断の結果が出たら「健康診断個人票」を作成する
    ・「健康診断個人票」をそれぞれの健康診断ごとに定められた期間保存する
  2. 健康診断結果について医師等からの意見を聴取する
    ・検査結果で異常の所見がある労働者がいる場合、医師に健康維持のために必要な処置について聞く
  3. 健康診断実施後の措置を行う
    ・(2)の結果、医師が「措置の必要あり」と認める場合、作業の転換や労働時間短縮などを行う
  4. 健康診断結果を労働者に通知する
    ・健康診断を受けた労働者全員に結果を通知する
  5. 健康診断の結果にもとづき保健指導を行う
    ・特に健康保持が必要な労働者に対し、医師や保健師による保健指導を行う
  6. 所轄労働基準監督署長への報告
    ・健康診断の結果を期限内に所轄労働監督基準所長に提出する
    ・「雇い入れ時健康診断」の結果は提出不要

「雇い入れ時健康診断」の結果を所轄労働基準監督署長に提出する義務はないため、上記(6)については省略できます。しかし、(1)~(5)については定期の健康診断と同様に行う必要があるため、結果を提出する必要がなくても上記の取り組みをしっかりと行うことが重要となります。

まとめ

今回は「雇い入れ時健康診断」の概要や対象者、「雇い入れ時健康診断」を省略できるケースなど、事業主が認識しておくべき事項について解説しました。

また、「雇い入れ時定期健診」と混同しやすい定期健康診断ですが、「労働基準監督署長に結果を提出する義務の有無」と「健康診断の検査項目」、「労働者の年齢等により省略できる検査項目の有無」の3点で明確な違いがあります。

その点に留意したうえで、対象者全員もれなく「雇い入れ時健康診断」を行うよう心がけましょう。

萩原 修|萩原労務管理事務所

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