この記事でわかること
- レイオフは業績悪化時に一時的に労働者を解雇する手法で、再雇用を前提としている
- レイオフの目的は優秀な人材の留保と業績回復のための人件費抑制であり、リストラや一時休業と異なる
- 日本国内では解雇には客観的かつ合理的な理由が必要であり厳格な規制の下で実施される
この記事でわかること
レイオフとは、再雇用を条件として労働者を一時的に解雇することです。業績悪化の際に取られる手法のひとつで、業績が回復した際に再雇用することを前提とした施策です。
今回はレイオフ(一時解雇)の意味や、リストラ・一時休業との違い、レイオフはなぜ行われるのか、法律で定められているレイオフの実施方法についても解説します。
昨今、ニュースや新聞などで目にする「レイオフ」。TwitterやMetaなど、米大手IT企業で人員削減の動きが見られておりますが、レイオフ(一時解雇)とは雇用調整のための施策のひとつです。
このレイオフは、業績が芳しくない企業が人件費を削減するためにおこなわれます。一時的な雇用ストップのため、企業が目指す業績に回復するまでの経過措置として施行されます。
レイオフは製造業を中心に実施されており、再雇用が前提ですが、IT・金融業などでは必ずしもそうではありません。
アメリカでは再雇用が行われないケースが多いですが、再雇用と似た制度も存在します。
レイオフと似た労務関連用語に、リストラのひとつである「整理解雇」や「一時休業」があります。
リストラも「整理解雇」を意味する点で共通しますが、再雇用の有無がレイオフと異なります。一時休業は「自宅待機」とも呼ばれ、会社との雇用関係を維持したまま、休業するのが特徴です。また、レイオフと同様に優秀な人材の確保を目的としています。
レイオフ | リストラ | 一次休業※ | |
会社との雇用関係 | 解消 | 解消 | 維持 |
---|---|---|---|
再雇用の有無 | あり | なし | 雇用維持 |
目的 | 人件費の削減 優秀な人材やスキルの確保 |
人件費の削減 人員整理 |
人件費の削減 優秀な人材やスキルの確保 |
一時休業の場合、休業補償(労働基準法第26条)が必要です。
日本で労働者を解雇するためには、法令に基づき実施しなければなりません。レイオフは解雇の一種ですがリストラの解雇とは異なり、労働者にもメリットがあります。
解雇は、企業などの使用者側が自由に行えるものではありません。
そして整理解雇が社会的相当か否かは、以下の点を総合的に考慮して判断されます。
整理解雇の判断ポイント
近年では、不確実性の高い経営環境や国際間競争の激化、多様な働き方の浸透に伴い、従来の働き方に疑問を唱える声が増えています。転職することも特別なことではなくなったことから解、雇規制緩和の議論もしばしば取り上げられています。
このような状況のなかで「レイオフ」も組織戦略のひとつの手段として理解しておく必要があります。
レイオフは勤続年数が基準となることが多く、勤続年数が短い労働者からレイオフが実施され、勤続年数が長い労働者から再雇用されるケースが多いです。
また、企業が強制力を行使・実施するため、労働者側に利益が生じるように配慮する経営者も多いといえます。一部の企業では、勤続年数が長い人に年収相当額の特別退職金を支給していることも珍しくありません。
レイオフは解雇の一種でありマイナスのイメージに捉えられがちですが、レイオフの実施は企業・労働者の双方にメリットがあります。
企業にとって、レイオフは優秀な人材を確保する機会であり、労働者へ新たな選択肢を提供しやすくなります。労働者にとっては給料や福利厚生面・職場環境の改善、他社への再就職のきっかけにもなり、新たなスタートの機会にもなり得えます。
レイオフとは、業績悪化の際に取られる人員整理の手法のひとつで、業績が回復した際の再雇用を前提として労働者を一時的に解雇することを意味します。
レイオフの目的は、優秀な人材や経験・スキル・ノウハウの留保、業績回復のための人件費の抑制などです。
労働者の解雇は労働契約法第16条で厳密に定められており、合理的な理由が必要になります。しかしレイオフの実施には企業、労働者の双方にメリットがあり、近年では解雇規制緩和の議論も活発になっています。
社会保険労務士の中でも、10%に満たないと言われる助成金を専門に手掛ける特定社会保険労務士/ワークスタイルコーディネーター。なんば社会保険労務士事務所の所長。
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