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勤怠管理に関するアンケート調査

従業員から人気・不評な打刻方法とは?企業の勤怠管理実態と満足度を調査

監修者:労務SEARCH 編集部
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労働基準法や労働安全衛生法に基づき、企業は従業員の労働時間の正確な記録や残業時間の管理、有給休暇の取得義務などを適切におこなわなければいけません。

では、これらの法律を遵守するために、各企業はどのような方法で勤怠管理をおこなっているのでしょうか。今回は20代以上の男女300名を対象に、勤怠管理に関するアンケート調査を実施してみました。

勤怠管理方法や打刻方法だけでなく、従業員が望む打刻方法や勤怠管理システムまたは勤怠管理アプリの機能なども調査しています。効率的な勤怠管理を実現したい企業はぜひ参考にしてください。

勤怠管理方法に関する調査結果

まずは、勤怠管理方法に関する調査をしてみました。調査結果のポイントは以下のとおりです。

調査結果のポイント
  • 勤怠管理方法の第1位は「勤怠管理システム」
  • 現在の勤怠管理方法に「不満は特に感じていない」方が31%
  • 勤怠管理で最も重視することは「使いやすさ」

勤怠管理方法の第1位は「勤怠管理システム」

まず、あなたの会社では、現在どのような方法で勤怠管理をおこなっていますか?という質問をしてみました。

あなたの会社では、現在どのような方法で勤怠管理をおこなっていますか?

その結果、第1位が「勤怠管理システム」で45.7%、第2位が「タイムカード」で30.3%と、回答者300名のうち7割以上の方が勤める企業では、このどちらかの方法で勤怠管理をおこなっていることが明らかとなりました。なお、これらの回答を選んだ回答者の業種を見てみると、いずれもサービス業の方が最多で、次に製造業の方が多い結果となりました。

続けて「勤怠管理アプリ」が7.0%、「紙に記入」が6.7%、「タイムカード」および「勤怠管理はしていない」が4.7%、「自社開発の独自システム」が0.6%、「その他」が0.3%という結果になっています。

現在の勤怠管理方法に「不満は特に感じていない」方が31%

次に、現在の勤怠管理方法で感じている最も大きな不満を一つ選んでくださいという質問をしてみましたが、最も回答数が多かったのは「不満は特に感じていない」という意見でした。

現在の勤怠管理方法で感じている最も大きな不満を一つ選んでください。

不満を感じている方からは、その理由として「打刻ミスを修正しにくい」が18.7%、「残業時間や休暇の申請が煩雑」が9.7%、「社外からアクセスできない」が7.3%、「自分の勤務時間が正確に反映されていない」および「休暇の残日数をすぐに確認できない」がそれぞれ4.7%、「自分の勤怠情報をリアルタイムで確認できない」が4.3%、「自由な勤務形態(リモートワークなど)に対応していない」が4.0%という結果になりました。

その他、「システムの利用方法がわかりにくい」が3.6%、「勤怠管理方法が複雑でわかりにくい」が3.0%と、勤怠管理のしにくさに不満を感じている方もいるようです。

なお、不満な点として最も回答数が多かった「打刻ミスを修正しにくい」に関しては、打刻漏れを自動で検知しアラートで通知してくれる勤怠管理システムの導入や、タイムレコーダーの場合は設置場所を工夫してみるなどの方法で解決できる可能性があります。

勤怠管理で最も重視することは「使いやすさ」

勤怠管理において最も重視することを一つ選んでくださいという質問に関しては、第1位が「使いやすさ」で37.4%、第2位が「正確な打刻記録」で29.4%、第3位が「休暇や残業の申請のしやすさ」で7.0%という結果になりました。

勤怠管理において最も重視することを一つ選んでください。

その他の回答数の差はあまりなく、「勤怠情報の透明性(自分の勤怠記録の確認がしやすい)」が6.0%、「勤怠情報のリアルタイム反映」が4.7%、「多様な勤務形態への対応(リモートワーク、時短勤務など)」が4.3%、「打刻ミスの修正のしやすさ」が3.3%、「モバイル対応」が2.0%、「データのセキュリティ」、「フレックスタイム制への対応」がそれぞれ1.3%、「システムの信頼性(システムダウンが少ない)」および「コンプライアンス対応(法令順守)」が1.0%、「特になし」が1.3%という結果でした。

勤怠管理システムの打刻方法に関する調査結果

次に、勤怠管理システムの打刻方法に関する調査をしてみました。調査結果のポイントは以下のとおりです。

調査結果のポイント
  • 勤怠管理システムの利用者のうち5割以上が「PCから打刻」
  • 打刻方法を選べるなら「スマートフォンから打刻」が第1位

勤怠管理システムの利用者のうち5割以上がPCから打刻

今回のアンケート調査では、約半数近くの方が勤怠管理システムを利用していることが判明しましたが、では、勤怠管理システムを使ってどのような方法で勤怠打刻をしているのでしょうか。

それを調べるため、前問で「勤怠管理システムを利用している」と回答した方に向けて、どのような方法で勤怠打刻をおこなっていますか?という質問をしてみました。

「勤怠管理システム」と回答した方にお聞きします。どのような方法で勤怠打刻をおこなっていますか?

その結果、第1位が「PCからの打刻」で55.5%、第2位が「ICカードをかざして打刻」で27.0%とこの2つの方法が圧倒的に人気なことがわかりました。

その他の打刻方法に関しては、「スマートフォンからの打刻」および「タブレットからの打刻」が3.6%、「指紋認証による打刻」・「顔認証による打刻」・「静脈認証による打刻」がそれぞれ2.2%、「チャットアプリからの打刻」および「入退室管理システム連携による打刻」が1.5%、「LINEからの打刻」が0.7%という結果でした。

PCから打刻する方法とは

PCから打刻する方法とは、個人PCを使用する場合と共有PCを使用する場合があります。前者の場合はWebブラウザ上で勤怠管理システムのログインページにアクセスし、出退勤を記録します。後者の場合は、特定の場所に設置されたPCでログインして打刻をおこなうことが一般的でしょう。

PCから打刻するメリットとしては、PCとネット環境があれば、いつでもどこでもリアルタイムで打刻ができることです。外出時や在宅ワーク時にも利用できるので、柔軟な働き方に取り組んでいる企業におすすめです。

ICカードをかざして打刻する方法とは

ICカードをかざして打刻する方法とは、PCで勤怠管理システムにログインした上で専用のICカードリーダーをPCに接続しておこないます。ICカードとは、交通系ICカードや社員証などです。

この打刻方法のメリットは、個々の従業員が所有するICカードを用いることで他人による不正打刻が難しい点です。また、ICカードをカードリーダーにかざすだけで打刻が完了するという手軽さも人気の理由の一つでしょう。

打刻方法を選べるなら「スマートフォンから打刻」が第1位

次に、勤怠打刻方法を選べるとしたら何がいいですか?という質問をしてみたところ、「スマートフォンからの打刻」が21.4%、「ICカードをかざして打刻」が18.4%、「タイムカード」が16.0%という結果になりました。

勤怠打刻方法を選べるとしたら何がいいですか?

前問で、勤怠管理システムの利用者のうち5割以上の方がPCから打刻していることが明らかとなりましたが、この質問で「PCからの打刻」を選んだ方は12.0%と、あまり多くの支持を集めていません。

その他、「入退室管理システム連携による打刻」が7.0%、「顔認証による打刻」が5.3%、「LINEからの打刻」が3.0%、「指紋認証による打刻」が2.7%、「Excelやスプレッドシートに記入」および「チャットアプリからの打刻」が2.3%、「タブレットからの打刻」が1.3%、「紙に記入」が1.0%、「特になし」が7.3%です。

「スマートフォンからの打刻」や「ICカードをかざして打刻」が上位にきていることを考えると、多くの方は打刻方法に”手軽さ”を求めていることが伺えます。対して、前問でも利用している方が少ないことが明らかとなった、顔認証・指紋認証やLINE・チャットアプリ、タブレットなどを用いた打刻方法は、従業員からあまり人気がないと言えるでしょう。

勤怠管理システムと勤怠管理アプリに関する調査結果

最後に、勤怠管理システムと勤怠管理アプリに関する調査をしてみました。調査結果のポイントは以下のとおりです。

調査結果のポイント
  • 特に満足している機能は「リアルタイムの勤務状況確認」が第1位
  • コンプライアンス遵守に役立っているかは「どちらとも言えない」が62.6%
  • 業務効率は「変わらない」が55.9%

特に満足している機能は「リアルタイムの勤務状況確認」が第1位

まず、勤怠管理システムまたは勤怠管理アプリで特に満足している機能は何ですか?という質問をしてみました。その結果、第1位が「リアルタイムの勤務状況確認」で40.2%、第2位が「残業時間の管理」で22.4%、第3位が「有給休暇・休暇管理」で14.0%となりました。

勤怠管理システムまたは勤怠管理アプリで特に満足している機能は何ですか?

約4割の方が「リアルタイムの勤務状況確認」を選択したことから、すぐに自身の勤務状況を確認できるかどうかは勤怠管理システム(または勤怠管理アプリ)を選ぶ上で必須の確認事項となりそうです。

その他、「スケジュール・シフト管理」が6.7%、「モバイル対応」が5.0%、「アラート・通知機能(遅刻・早退など)」、「フレックスタイム制・テレワーク対応」、「ワークフロー(申請・承認)機能」がそれぞれ2.8%、「工数・プロジェクト管理」が1.7%、「多言語・海外対応」が0.6%、「GPS打刻」、「その他」がそれぞれ0.5%という結果でした。

コンプライアンス遵守に役立っているかは「どちらとも言えない」が62.6%

次に、勤怠管理システムまたは勤怠管理アプリが、労働法令やコンプライアンスに対応するために役立っていると感じますか?という質問をしてみたところ、「どちらとも言えない」が62.6%、「役立っている」が17.3%、「あまり役立っていない」が10.6%、「非常に役立っている」が5.6%、「全く役立っていない」が3.9%となりました。

勤怠管理システムまたは勤怠管理アプリが、労働法令やコンプライアンスに対応するために役立っていると感じますか

コンプライアンス遵守に役立っていると感じる理由

前問で「非常に役立っている」または「役立っている」と回答した方に対して、その理由を聞いてみました。その結果、主に以下4つのポイントが挙げられました。

「非常に役立っている」または「役立っている」と回答した方にお聞きします。その理由を教えてください。

まず、勤怠管理システムまたは勤怠管理アプリでは、労働時間の正確な管理と勤務状況の可視化ができるため、無駄な残業の防止につながる点や労働環境の改善に役立てられる点が評価されています。また、不正防止とコンプライアンス遵守が強化され、法令順守が確保されることも重要視されているようです。

業務効率は「変わらない」が55.9%

続けて、勤怠管理システムまたは勤怠管理アプリを利用することで、業務効率が向上したと感じますか?という質問をしてみました。その結果、「変わらない」が55.9%、「ある程度向上した」が17.3%、「わからない」が12.3%、「あまり向上していない」が6.1%、「非常に向上した」が5.6%、「全く向上していない」が2.8%という結果になりました。

勤怠管理システムまたは勤怠管理アプリを利用することで、業務効率が向上したと感じますか?

なお、各回答の回答者が勤める会社の従業員数規模を軸に結果を見てみたところ、「ある程度向上した」または「非常に向上した」の回答者は従業員数が300名以上の会社に勤める方が最多であったことから、従業員数が多い会社ほど勤怠管理システムまたは勤怠管理アプリの利用が業務効率化に繋がりやすいと言えそうです。

業務効率が向上したと感じる理由

前問で「非常に向上した」または「ある程度向上した」と回答した方に対しても、その理由を聞いてみました。理由は大きく以下5つに分類でき、最も回答数が多かったのは「手間の削減」でした。”手間”とは、打刻に関するものと勤怠管理に関するものが挙げられています。

「非常に向上した」または「ある程度向上した」と回答した方にお聞きします。その理由を教えてください。

手間の削減に続いて、多くの回答が寄せられた理由としては「正確なデータ管理」の実現です。また、従業員が自身の勤務状況をリアルタイムで把握することで、業務の進行管理が効率化されたといった意見も見受けられました。

勤怠管理システムまたは勤怠管理アプリの「使いやすさ」も評価されており、申請や承認などのプロセスがスムーズになったことで、全体の業務効率が向上したという意見もあります。その他、柔軟な働き方をサポートする機能も高く評価されています。

まとめ

今回のアンケート調査では、企業の勤怠管理方法や従業員の満足度に関する実態が明らかになりました。調査対象となった300名の回答者のうち、約7割が「勤怠管理システム」や「タイムカード」を利用しており、従業員は特に「使いやすさ」を求めているようです。

勤怠管理システム利用社の打刻方法としては「PCからの打刻」が最も多かったものの、従業員からは「スマートフォンからの打刻」を希望する声が最も強いことが判明しました。また、勤怠管理システムの利用により、リアルタイムの勤務状況確認が特に満足されている機能である一方、コンプライアンス遵守や業務効率の向上については、評価がわかれる結果となりました。

人事・労務担当者は今回の調査結果を参考に、業務の効率化と従業員の満足度向上を両立できる勤怠管理方法を検討しましょう。

アンケート調査概要

調査名 勤怠管理に関するアンケート
調査対象 20代以上の男女300名
調査期間 2024年7月10日~2024年7月24日
調査方法 インターネット調査
監修者労務SEARCH 編集部

労務・人事・総務管理者の課題を解決するメディア「労務SEARCH(サーチ)」の編集部です。労働保険(労災保険/雇用保険)、社会保険、人事労務管理、マイナンバーなど皆様へ価値ある情報を発信続けてまいります。
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