労務SEARCH(サーチ)

労務の課題を解決するメディア
powerde by オフィスステーション

Facebook twitter

メールマガジン無料登録

 

おすすめ記事やお役立ち資料をお届けします。

高度プロフェッショナル制度とは?対象になるのは誰?

投稿日:

人事労務管理

高度プロフェッショナル制度とは?対象になるのは誰?

「労働基準法等の一部を改正する法律案」に盛り込まれた「高度プロフェッショナル制度」。人事担当者であれば一度は耳にしている言葉でしょう。

この高度プロフェッショナル制度がどのような内容なのか、また、具体的にどのような労働者が対象になるのか、そして、この制度が導入された場合にどのような効果があるかご存じでしょうか?

今回は、この高度プロフェッショナル制度の概要について詳しく解説していきます。

高度プロフェッショナル制度とは?

まずは、高度プロフェッショナル制度がどのような制度なのか確認していきましょう。なんとなくは知っているという人もしっかりと覚えておくようにしてください。

高度プロフェッショナル制度は、「時間ではなく成果で評価される働き方を希望する労働者のニーズに応え、その意欲や能力を十分に発揮できるようにするため、一定の年収要件を満たし、職務の範囲が明確で高度な職業能力を有する労働者を対象として、長時間労働を防止するための措置を講じつつ、時間外・休日労働協定の締結や時間外・休日・深夜の割増賃金の支払義務等の適用を除外した新たな労働時間制度の選択肢」と明記されています。

〈高度プロフェッショナル制度のポイント〉

  • 成果で評価する
  • 一定の要件を満たし、仕事内容の範囲が明確で高い能力を持っている人が対象
  • 対象者は時間外勤務や休日勤務などによる割増賃金の支払義務が適用されない

今までの労働時間制度では、成果を上げなくても一定の時間を過ごせば給与が出ていましたし、仕事の内容が不明確な人もいました。

また、深夜残業や休日出勤時には割増で賃金が支払われていましたが、高度プロフェッショナル制度が適用される人はこれらの点が当てはまらなくなります。

どのような業務が対象になるのか?

では、どのような業務が高度プロフェッショナル制度の対象になるのでしょうか?

この点に関しては、以下の2つの点が前提となります。

〈高度プロフェッショナル制度の対象となる業務の前提条件〉

  • 高度の専門的知識などを要すること
  • 業務に従事した時間と成果との関連性が強くないこと

この2点を踏まえて実際には省令で規定されていくのが適当とされています。
まだ規定されたわけではありませんが、対象となる業務の具体例としてはいくつかが挙げられています。

〈対象となる業務の例〉

  • 金融商品の開発業務
  • 金融商品のディーリング業務
  • アナリスト業務(企業や市場などの高度な分析を行う)
  • コンサルタント業務(事業・業務の企画運営に関する高度な考案や助言を行う)
  • 研究開発業務

などが想定されています。
これらの業務は高度な専門的知識がなければ行うことができず、長時間業務に従事したからといって成果が出るものでもありません。もしかしたら、あっという間に成果が出るかもしれませんし、長い時間をかけて成果を出していくことになるかもしれません。

この点は先述の2点に該当するものであり、現時点では高度プロフェッショナル制度に該当する業務であるとされています。

どのような労働者が対象になるのか?

対象となる業務についてはある程度理解してもらえたかと思います。では、その業務に従事している労働者は全員高度プロフェッショナル制度に適用されるのでしょうか。

この点については以下の点を満たしている労働者が制度の対象になるとされています。

〈高度プロフェッショナル制度の対象になる労働者〉

  • 書面などによる合意によって職務の範囲が明確に定められている労働者
  • 対象となる労働者の年収について「1年間に支払われると見込まれる賃金の額が、平均給与額の3倍を相当程度上回る」水準である労働者(具体的には1075万円を参考に検討されていて、それ以上の労働者)

このとき、制度の対象となることによって労働者の賃金が減らないように注意しなければいけません。

制度導入にあたっての条件と手続き内容を確認

実際に制度を労働者に適用するにあたっては健康確保措置を講じなければいけません。
措置には以下のようなものがあります。

〈高度プロフェッショナル制度導入時の健康確保措置〉

  • 経営者は客観的な方法などにより在社時間等の時間である「健康管理時間」を把握すること
  • インターバル措置(終業時刻から始業時刻までの間に一定時間以上を確保する)or
    1月又は3月の健康管理時間の上限措置or年間104日の休日確保措置のどれかを講じること
  • 省令によって定められた事項のうち、労使間で定めた措置を講じること
  • 医師による面談指導を実施すること(健康管理時間が一定時間を超えた場合)

また、制度を導入する手続きに関しても以下のようなルールがあります。

〈高度プロフェッショナル制度導入時の手続き〉

  • 職務の内容及び制度適用についての本人の同意を得ること(職務記述書などに署名する形で対応)
  • 対象業務・対象労働者をはじめとした各事項などを決議すること

しっかりと手続きを踏んだうえで、制度の対象となった労働者の健康への配慮が必要です。

制度が導入された際の効果は?

実際に制度が導入されると、どのような効果があるのでしょうか。まず挙げられるのは先述のとおり、時間外勤務や休日勤務、深夜勤務の際の割増賃金の支払義務が適用外となる点です。

また、そのほかにもいくつかのメリット・デメリットがあります。

〈高度プロフェッショナル制度のメリット〉

  • 労働生産性の向上
    →時間に対する報酬ではないことから、短時間で効率よく成果を上げようとするため、生産性の向上が期待できる
  • ワークライフバランスの実現
    →出社や退社の時間が自由に決められるため、育児や介護と仕事の両立が可能となり、ワークライフバランスの実現が期待できる
  • 無駄な残業代が不要
    →残業をすればするほど報酬が増えるという矛盾が解消され、人件費カットにつながる

〈高度プロフェッショナル制度のデメリット〉

  • 業種によっては残業が横行する
    →成果達成のため自然とサービス残業が横行するリスクがある
  • 成果の評価が難しい
    →「成果」については統一した評価を行うことが難しく、結果として評価が適正に報酬に反映されない恐れがある

実際に制度を導入するにあたってはこれらのメリット・デメリットをしっかりと理解しておく必要があります。

まとめ

今回は高度プロフェッショナル制度についてその概要を紹介してきました。メリットも複数存在するものの正当な評価が難しくなるといったデメリットも少なくありません。

企業の担当者としては制度を導入することでどのようなことが起こる可能性があるのか、隅々まで議論しておく必要があるでしょう。

山本 務|やまもと社会保険労務士事務所

いいね!していただくと毎日更新している最新の情報をお届けします