子供が産まれて少し成長するまでは「短時間勤務制度」を利用する主婦も多いでしょう。ですが、いつまで時短勤務でいられるのでしょうか。
実は、育児・介護休業法によって企業は3歳未満の子供がいる従業員に対し時短勤務を認めなければなりません。今後、利用しようと思っている方であれば詳しく理解する必要があります。
そこで本記事では、時短勤務についていつまで取得できるのかや時短勤務取得時の注意点などを解説します。
目次
時短勤務とは、従業員が様々な個人的な理由のために通常のフルタイム勤務時間よりも短い時間働くことを指します。法律でも定められており、正式名称は「短時間勤務制度」です。
時短勤務における上記の「個人的な理由」とは、たとえば子育てや介護などに対応するためにしばしば選択されます。ワークライフバランスを重視する現代社会において、従業員の満足度を高め、組織にとってもプラスとなる人材を確保し続けるための戦略として注目されています。
実は時短勤務制度は、育児・介護休業法で使用者側への導入義務が明記されています。
事業主は、三歳に満たない子を養育する労働者であって、当該事業主と当該労働者が雇用される事業所の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、その事業所の労働者の過半数で組織する労働組合がないときはその労働者の過半数を代表する者との書面による協定で、次に掲げる労働者のうちこの項本文の規定による請求をできないものとして定められた労働者に該当しない労働者が当該子を養育するために請求した場合においては、所定労働時間を超えて労働させてはならない。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りでない。
企業はこれを尊重して実行する義務があります。
時短勤務を利用することで、プライベートな時間と仕事のバランスを取るための柔軟性をもつことができます。そのため仕事と家庭生活の両立が可能となり、ストレスの軽減や全般的な生活の質の向上が期待できるでしょう。
対して、企業側が導入するメリットは従業員のロイヤルティを高め、モチベーションを維持することができます。
また、才能ある従業員が育児や介護のために職を離れることなく、キャリアを継続できる環境を提供することは、企業のブランド価値を向上させるとともに知識と経験を社内に留めておくことにもつながります。
時短勤務には取得できる条件があります。これから育児や介護などによって時短勤務を検討している方は確認しておきましょう。
まずは育児の場合において時短勤務の条件やどのくらい取得できるのかを見ていきます。
時短勤務を利用する場合は、上記条件をすべて満たす必要があるため利用予定の方はいま一度確認しておくことをおすすめします。
また、上記のなかでも「3歳未満の子供を療養」という部分について、企業によっては延長されたりするケースがあります。
法律では「3歳の誕生日を迎える前」ではありますが、企業によっては「就業前の6歳まで」や「中学生になるまで」などと利用できる期間を延長しているところもあります。
上記のように、働くママさんに応じた制度を取り決めている企業も多くなっています。転職時などには時短勤務についての就業規則など確認しても良いでしょう。
次に介護が理由である場合について見ていきます。介護における時短勤務の対象者は「対象家族を介護する日々雇用されていない労働者」です。条件を満たしていればパートタイム・アルバイトの方でも利用可能です。
また、ここでいう対象家族とは以下の範囲までを指します。
そして、介護の場合は法律で「対象の家族1つにつき、利用開始から連続する3年以上の期間中に2回以上」が利用できる期間や回数となっています。
時短勤務は育児や介護のシーンで利用されていることが分かりました。では実際に、どのような理由で時短勤務制度を利用するのでしょうか。
時短勤務制度を利用する最も一般的な理由のひとつが、子育てとの両立です。特に小さな子供がいる親は、
などのために時短勤務制度を選択する方が多いです。
高齢の親や病気の家族を介護する必要がある場合も、時短勤務制度を選択することが多いでしょう。
介護は予測不可能な事態を伴うことが多く、時短勤務制度はそのような状況に柔軟に対応するために不可欠と言えるでしょう。
時短勤務制度は、健康上の理由でフルタイム勤務が難しい従業員にとってもありがたい制度です。
たとえば慢性疾患の管理や定期的な治療の必要性、または回復期間中の方が健康を維持しながら職場に貢献するために時短勤務を利用することがあります。
キャリアアップや個人的な成長のために学習やトレーニングを必要とする方も、時短勤務制度を利用して学業と仕事を組み合わせることが可能です。これにより新たなスキルを獲得することができる可能性もあります。
単に仕事と私生活のバランスを取りたいという理由で、時短勤務を選ぶ従業員もいます。
趣味・旅行・社会活動または単にリラックスするための時間を確保することで、全体的な満足度と生産性を向上させることができます。
時短勤務を利用するのは良いけれど、いつ頃フルタイムへ復帰しようか悩んでいる方もいるでしょう。長時間での時短勤務は、会社や自身のキャリアなど不安になることも多くなってきます。
そこで、時短勤務制度の見直しタイミングについていつくか例を紹介します。それぞれ、細かく理由などを添えていますので確認しておきましょう。
時短勤務は基本的に、お子さんが生まれてから利用する「育児休業」を終えて社会復帰したあとに活用するケースがほとんどです。
産まれて3カ月後くらいは、子供が急成長したり首がすわってきたりする一番大変な時期とも呼ばれています。時短勤務を利用されるのであればその時期だけ活用して、あとは経済的理由などからフルタイムに戻るのも良いでしょう。
一番子供にとって大切な時期に一緒にいてあげることは大切です。経済的な余裕があれば、もう少し期間を延長しても良いかもしれません。
子供に授乳しなければならない年齢では、食事の時間など管理も大変であり多くの時間が消費されるでしょう。
そのため、卒乳するというだけで負担がかなり軽減します。そのタイミングに合わせて時短勤務を見直しするという方もいます。
ちょうど1歳になったらフルタイムとして社会復帰するというケースです。この時期になってくれば、0歳児のように手取り足取りという状況ではなくなってきます。
また、保育園への入園などをする場合はさらに子供のお世話をする時間が減るでしょう。時短勤務の利用者はこの1歳になるというタイミングで見直しすることも多いです。
子供が産まれる場合、パートナーも共に育児休業を利用することができます。必ずしも同じ時期に取得しなければならないという訳ではありません。
そのため、パートナーが育児休業など利用するというタイミングでフルタイムへ戻るとケースもあります。そうすれば経済的な安心感もあるうえに、育児に対して大切な価値観などがパートナーと擦り合わせやすくなるでしょう。
時短勤務制度は主に育児や介護などのために設けられている制度です。企業は育児・介護法に則り、特定条件を満たす従業員に対して時短勤務を認めなければなりません。
特に子供がまだ小さいうちは、幼稚園や保育園の送迎などと時間を合わせるためにも時短勤務を利用する方が多いですが、企業によって子供の年齢が延長されるケースもあります。
また、フルタイム戻るタイミングなども合わせて確認しておきましょう。企業側も、時短勤務の従業員がいる場合は給与計算や勤怠管理などしっかりと対応することが必要です。
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