この記事でわかること・結論
- 育児休業等取得者申出書とは、育児休業等の取得時や延長時に提出する書類のこと
- 従業員から育児休業等の取得の申し出があったら、事業主が育児休業等取得者申出書を提出する
- 育児休業等取得者申出書を提出することで、育児休業等期間中の健康保険・厚生年金保険の保険料が免除される
この記事でわかること・結論
育児休業等取得者申出書とは、健康保険・厚生年金保険の被保険者が育児休業等を取得する際に必要となる書類のことです。被保険者から申し出を受けた事業主が作成して提出します。
育児休業等の新規取得時および延長時には、この育児休業等取得者申出書の提出が必要になります。また、提出することで被保険者と事業主の保険料が免除されます。
本記事を参考に、育児休業等取得者申出書の書き方や育児休業の取得ケースなどを理解しておきましょう。
目次
育児休業等取得者申出書とは、健康保険・厚生年金保険の被保険者が「育児休業等」を取得・延長する際に必要となる書類のことです。被保険者から申し出を受けた事業主が事務センターまたは管轄の年金事務所に提出します。
育児休業等取得者申出書を提出することにより、育児休業期間中における被保険者と事業主の健康保険・厚生年金保険の保険料が免除されます。
被保険者から育児休業等を取得したいと申し出があったら、事業主は「育児休業等取得者申出書」を作成して提出しなければなりません。この届出により、被保険者と事業主の保険料が免除されます。
被保険者が取得する「育児休業等」には、以下のような例があります。これら育児休業等の申し出に対して、事業主が育児休業等取得者申出書の提出を含む手続きをします。
育児休業制度は育児介護休業法に基づいて、原則として1歳に満たない子を養育するための制度です。しかし、「保育園に入所できない」などの事由により、最長で子が2歳になるまで延長できます。
また、男性が柔軟に育児休業等を取得できる「産後パパ育休」や、両親がともに取得することで子が1歳2カ月になる日の前日まで延長ができる「パパママ育休プラス」に該当する場合も、育児休業等取得者申出書の提出が必要です。
通常の育児休業 | 1歳未満の子ひとりにつき原則2回まで取得可能の制度。保育所待機などの事由により、最長で子が2歳になるまでの延長が可能。 |
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産後パパ育休 | 出産後8週間以内に4週間の休業が取得できる制度。2回まで分割して取得可能。 |
パパママ育休プラス | 両親がともに育児休業を取得する場合は、子が1歳2カ月になるまでの期間で1年間休業が可能になる制度。 |
つまり育児休業等取得者申出書は、「新規取得・延長・特例制度」など育児休業等のあらゆるケースにおいて必要となる書類です。また、育児休業等の終了(予定)日よりも早い段階で終了するとなった場合でも提出が必要です。
特例制度である産後パパ育休やパパママ育休プラスは、適用できる条件があるため検討している方はそれぞれの記事で詳細をチェックしてみてください。
先述したとおり、育児休業等取得者申出書の提出により育児休業等期間中における毎月の報酬にかかる健康保険・厚生年金保険の保険料が免除されます。
保険料の免除期間は「育児休業等の開始日が属する月〜育児休業等の終了日の翌日が属する月の前月までの期間」です。また、育児休業等の開始日が属する月と終了日の翌日が属する月が同じでも、育児休業等の開始日が属する月に14日以上取得している場合は免除となります。
育児休業等期間中に支給される賞与の保険料については、賞与支給月の末日を含む連続した1カ月を超える育児休業等を取得した場合に免除されます。
「育児休業等取得者申出書」は日本年金機構の公式Webサイトよりダウンロードできます。後述している記入例と書き方を参考に作成しましょう。
育児休業等取得者申出書は、事業主が事務センターまたは管轄の年金事務所へ提出します。電子申請や郵送、年金事務所であれば窓口持参でも提出可能です。提出期限は、被保険者の育児休業等期間中または育児休業等終了日から起算して1カ月以内の間となります。
被保険者からの申し出があったのにもかかわらず、事業主が育児休業等取得者申出書を期限内に提出できなかった場合は、理由書と被保険者が休業していることが確認できる書類(出勤簿、賃金台帳など)の添付が必要になります。
また、育児休業等取得者申出書を提出していないと各種保険料の免除ができません。被保険者が育児休業等期間中であっても毎月の保険料が発生するため注意しましょう。
ここからは、育児休業等取得者申出書の書き方を日本年金機構の公式Webサイトで公表されている新規取得時の「記入例」を参考に解説します。
上記画像の記載項目について、以下を参考に記載していきましょう。画像のなかでも青い番号がついている箇所をまとめています。
番号 | 記載内容 | 詳細 |
---|---|---|
① | 提出日 | 事業主が育児休業等取得者申出書を提出する日を記載します。 |
② | 事業所整理記号 | 事業所整理記号は、健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬月額決定通知書や納入告知書などに書かれているため確認し記載します。 |
③ | 事業者情報 | 事業所の所在地・事業所名称・事業主氏名(代表取締役の氏名)・電話番号を記載します。 |
④ | 被保険者整理番号 | 被保険者整理番号は、健康保険被保険者証の表面に書かれているため確認し記載します。 |
⑤ | 個人番号(基礎年金番号) | マイナンバーカードや基礎年金番号通知書などを確認し記載します。 |
⑥ | 子の区分 | 「実子」もしくは、養育する子が被保険者の養子である場合などは「その他」を丸で囲います。 |
⑦ | 養子開始年月日 | 養子である場合は、養子の養育開始日を記載します。 |
⑧ | 育児休業期間 | 被保険者が養育のために休業する期間を記載します。育児休業等終了(予定)年月日には、子が1歳になる日の前日を記載します。 |
⑨ | 育児休業等取得日数と就業予定日数 | 育児休業等開始日と育児休業等終了(予定)日の翌日が同月の場合にのみ記載します。 |
⑩ | パパママ育休プラス該当区分 | パパママ育休プラスに該当する場合のみチェックをつけます。 |
⑪ | 育休等取得内訳 | 同月内で複数回の育児休業等を取得した場合、それぞれの育児休業等について開始日・終了(予定)日・取得日数・就業予定日数を記載します。 |
上記が育児休業等取得者申出書の書き方です。被保険者整理番号や育児休業等の詳細などを記載するため、企業の担当者は被保険者からヒアリングしておきましょう。
同月内で複数回の育児休業等を取得する場合は、⑧の開始年月日には「初回の開始年月日」、終了(予定)年月日には「最終回の終了(予定)年月日」を記載しましょう。
ほかにも、⑨の育児休業等取得日数と就業予定日数、および⑪育休等取得内訳を忘れないように注意してください。
育児休業等を延長するときや、終了(予定)年月日より早めに終了するときにも育児休業等取得者申出書の提出が必要です。
上記内容に加えて、⑨の下にある「A. 延長」や「B. 終了」を忘れずに記載しましょう。開始年月日と終了(予定)年月日が同月内である場合は、右側にある「変更後の育児休業等取得日数」の記載もします。
育児休業等取得者申出書とは、健康保険・厚生年金保険の被保険者が育児休業等を取得する際に必要となる書類のことです。新規取得や延長など、被保険者から申し出を受けた事業主が事務センターや管轄の年金事務所へ提出します。
また、育児休業等取得者申出書を提出することによって、育児休業等期間中における被保険者と事業主それぞれの社会保険料が免除されるため提出漏れのないように注意が必要です。
育児休業等取得者申出書は、新規取得時に限らず延長時や予定より早く終了する場合にも提出が必要ですが、それぞれ書き方などを事業主はよく覚えておきましょう。
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