
e-Gov電子申請をCSVファイルでおこなう手順や注意点についてわかりやすく解説
行政手続きコスト削減のため、2020年から一部の手続きの電子申請が義務化されます。
電子政府の総合窓口である「e-Gov電子申請システム」を使用して電子申請する際に、作業の正確性や効率性をアップさせられるのが、CSVファイルです。
今回は、CSVファイルを用いた手続きの手順や得られるメリット、注意点などについて解説します。
この記事の目次
電子申請(e-Gov)の義務化
2019年3月、特定法人に対して雇用保険・労働保険などの一部届出・申請・報告書の電子申請義務化を定めた「厚生労働省令」が公布されました。
2020年4月の施行日から義務化の対象となる企業については、以下関連記事をご覧ください。
【関連】【2020年義務化】社会保険の手続き電子化とポイントまとめ
CSVファイルとは
CSVファイルとは、カンマ(,)でデータの値を区切ったテキストファイルを指します。
CSVは、Comma Separated Valueの略称で、CSVファイルは「カンマ区切りファイル」とも呼ばれます。ファイルの拡張子は基本的に「.csv」です。
CSVファイルは、メモ帳などのテキストエディタで開けます。ただし、中身は文字列とカンマでのみ構成されており、読みづらくなっています。
そのため、主にExcelといった表計算ソフトや、Accessといったデータベースソフトに取り込んで使います。
CSVファイルは、異なるアプリケーション間でデータをやりとりする際に使用するファイルで、互換性・汎用性のあるファイル形式です。
たとえば、Outlookなどのメールソフト、Webサービスの明細や、企業や行政のオープンデータなどをCSVファイルとして書き出すことで、受け取る側のアプリケーションにかかわらず読み取ることが可能となります。
CSV方式の対象手続き
CSVファイル添付方式で申請可能な対象手続きは、下記のとおりです。
- 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
- 健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届
- 健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額算定基礎届
- 健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額変更届
- 健康保険・厚生年金保険被保険者賞与支払届
- 厚生年金保険被保険者住所変更届
- 健康保険被扶養者(異動)届
- 国民年金第3号被保険者関係届(資格取得・資格喪失・死亡)
- 国民年金第3号被保険者被扶養配偶者非該当届
【関連】迫る2020年健康保険組合も!?申請が電子化義務の手続きをまとめてみた
電子申請の方法4つ
電子申請の方法は、「直接入力方式」、「連記式・CSVファイル添付方式」、「一括申請方式」、「API利用方式」の4種類あります。
| 方式名称 | 申請方式 | 利便性 | 費用 |
|---|---|---|---|
| 直接入力方式 | 一件ずつ申請 | △ | 無料 |
| 連記式・CSVファイル添付方式 | 複数人の対象者を一度に設定 | ◯ | 無料 |
| 一括申請方式 | 複数件の手続きを一度に申請 | ◎ | 有料 |
| API利用方式 | 複数件の手続きを一度に申請 | ◎ | 有料 |
直接入力方式
e-Gov上で申請情報を入力し、一件ずつ申請する方法です。
連記式・CSVファイル添付方式
日本年金機構の配布する届書作成プログラムで「任意媒体届出書ファイル」を作成し、e-Govで添付・申請する方法です。
一括申請方式
一般の事業者のソフトウェアを使い、複数件の申請データをまとめた圧縮ファイルをe-Govで添付・申請する方法です。
API利用方式
一般の事業者のソフトウェアを使い、e-Govを経由することなく、ソフトウェアから直接申請する方法です。
CSVファイルを活用した電子申請のメリット
CSVファイルの活用には、主に3点のメリットがあります。
既に登録済みのデータが利用可能
一度入力作業をしてしまえば、ターンアラウンドCDなどを使用し、日本年金機構に登録済みのデータを何度でも利用できます。
ターンアラウンドCDとは、日本年金機構から送付される、被保険者のデータが収録されたCDのことです。日本年金機構に依頼すると、現在の登録データを管轄の年金事務所まで送付してもらえます。
複数名の同時申請が可能
登録済みのデータを活用すれば、複数名のデータを一つのファイルにまとめることができます。
1名ずつ登録する手間を省くことができ、時間短縮につながります。
社会保険加入者のデータ管理が可能
日本年金機構の発行している「届出書作成プログラム」を使って、社会保険データの管理も可能です。
電子申請(e-Gov)によるCSV作成・申請手順
それでは、実際にCSVファイルを使用した電子申請方法を見ていきましょう。
「事前準備」→「CSVファイルの作成」→「電子申請(e-Gov)による届出」の順でそれぞれ解説します。
【参考】健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届(磁気媒体届書作成プログラム利用)を例としたe-Gov電子申請システム利用マニュアル
事前準備
まず、電子証明書の取得およびパソコンの環境設定をしておきましょう。
電子証明書の取得
電子証明書とは、ファイルの本人確認をするためのもので、基本的に有料かつ有効期限が定められています。
電子証明書は、公的個人認証サービスや商業登記に基礎を置く電子認証制度などを行なっている官公庁、もしくは各種民間認証局から発行されます。
官公庁での発行の場合、個人名義かつICカードタイプでの発行となり、別途ICカードリーダライタを用意する必要があります。電子申請でのみ使用できる電子証明書となります。
一方、民間認証局での発行の場合、法人名義かつファイルタイプでの発行となり、電子申請以外にも使用できます。
パソコンの環境設定
電子申請を滞りなく行うためには、以下6点の準備が必要です。
- パソコン(Windows)とブラウザソフト(Internet Explorer)の用意
- Javaのインストール
- 電子証明書を使用するための周辺機器・ソフトの設定
- ブラウザポップアップの許可
- 信頼済みのサイトとしてe-Govを登録
- e-Gov電子申請用プログラムのインストール
CSVファイルの作成
事前準備が完了したら、CSVファイルを作成します。
CSVファイルの作成に際しては、5つのステップがあります。
プログラムのダウンロード
まず、日本年金機構の発行する「届出作成プログラム」をインストールします。
初期情報の設定
インストールした届出作成プログラムの起動後に表示される下記画面で、初期情報を設定しましょう。
左下の「初期情報を設定する」から、申請時の共通データを登録します。「管理情報登録(F)」と「事業所情報録(J)」は、必須です。
CSVファイルの作成
次に、右上の「届出を編集する」にある「最初から(N)」をクリックし、CSVファイルの作成を開始します。
次の画面で「資格取得」や「資格喪失」、「算定基礎」といったタグが表示されます。
目的に応じて「追加(I)」ボタンをクリック、データを入力してCSVファイルを完成させます。
電子申請用提出ファイルの作成
続いて、CSVファイルから電子申請用提出ファイルを作成します。
中央の「提出ファイルを作る」から「電子申請用(D)」をクリックし、必要事項を入力して完成です。
「電子申請用(D)」をクリックしてから次の画面で「OK」を押すと、電子申請時に入力する「CSV形式届書総括票」を印刷できます。
ファイルエラーの確認
最後に、ファイル形式の誤りを防ぐため、「仕様チェックプログラム」をダウンロード・インストールし、ファイルエラーの有無を確認しておきましょう。
各プログラムは以下のサイトからダウンロード可能です。
【参考】届書作成プログラム・仕様書のダウンロード-日本年金機構
電子申請(e-Gov)による届出
CSVファイルの作成後、電子申請を行います。
まず、先ほど印刷したCSV形式届書統括表の内容を入力します。データの指定後は、必ず請求者の電子署名を行いましょう。
次に、申請者が作成した任意の添付書類です。必要なデータを添付し、e-Govに格納してから発行される「預かり表」を必ずダウンロードします。
最後に、預かり表を読み込ませ、申請者の基本情報および送付先を指定してから、一連の電子申請データを送付します。
CSVファイルによる電子申請(e-Gov)の注意点
CSVファイルによる電子申請を行う際は、以下の点に注意しましょう。
設定内容の変更に伴う対応
社会保険関係手続きでは、個人番号対応や様式変更に応じて、「提出元ID」や「事業所整理番号」の項目について、設定内容が変更されています。
そのため、作成するCSV形式届書総括票も、設定を変更する必要があることを忘れないようにしましょう。
社会保険の手続き時の媒体通番
e-Govで社会保険の申請手続きをする場合は、申請方式にかかわらず、媒体通番の入力が必須となります。
媒体通番とは、電子申請での社会保険手続きで付ける番号のことです。
基本的に「001」から始まり、提出した番号と同じ番号を二度は使えません。番号が重複すると処理ができなくなるため、社会保険の手続きの際には、毎回異なる媒体通番を使用するよう注意しましょう。
電子証明書の有効期限
申請時に必須となる電子証明書には、有効期限が設けられています。有効期限を過ぎていないか注意しておきましょう。
個人の場合は、マイナンバーカードなら発行日から5回目の誕生日まで有効です。
法人の場合は、各認証機関によって定められている有効期限が異なるため、個別で有効期限を確認する必要があります。
申請時に有効期限が過ぎないよう、事前に更新手続きを進めておきましょう。
まとめ
- CSVファイルは、異なるアプリケーション間でのデータ移動ができるファイルである。
- CSV方式での申請には、電子証明書の取得とパソコンの環境設定が事前に必要である。
- CSVファイル作成の際には、日本年金機構の届出作成プログラムを活用する。
- CSVファイルでの電子申請時には、媒体番号や有効期限に注意する。
- CSVファイルでの申請可能な対象手続きは現在限定的で、社会保険資格取得、喪失などである。

ソビア社会保険労務士事務所の創業者兼顧問。税理士事務所勤務時代に社労士事務所を立ち上げ、人事労務設計の改善サポートに取り組む。開業4年で顧問先300社以上、売上2億円超達成。近年では企業の人を軸とした経営改善や働き方改革に取り組んでいる。
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