企業においてアルバイト従業員を雇用した際に、マイナンバーの管理はどうしていますか?
アルバイトだからマイナンバーの提出は必要ない、ということはありません。アルバイトでもマイナンバーの提出が必要になる場面は数多くあります。
この記事でアルバイトを雇用した際のマイナンバー管理について確認していきましょう。
目次
企業が新たにアルバイト従業員を雇用した際、正社員同様にマイナンバー管理が必要です。その理由は、雇用保険や労災保険、社会保険への加入手続きをおこなう際に、アルバイト従業員のマイナンバーの提出が求められるからです。
例として、雇用保険の手続きを見ていきましょう。たとえば従業員のなかで、
といった3つの雇用保険の加入条件を満たしている従業員は、雇用形態に関わらず原則、雇用保険に加入しなければなりません。そして、雇用保険の加入手続きにはマイナンバーが必要です。そのため企業側はアルバイトの従業員からも、マイナンバーを提出してもらう必要があります。
もし雇用当初は30日以下の雇用を想定していたけれど、その後事情が変わって31日以上の雇用が見込まれることになった場合は、その時点から雇用保険が適用となります。
雇用保険に加入している場合、失業した際に次の仕事が見つかるまでの間、生活をするための基本手当(失業手当)が受けられます。働けないときに経済的な面で生活を保障してくれる保険制度でもあるため、加入条件を満たす場合はアルバイトでも必ず加入手続きをおこないましょう。
アルバイト従業員は雇用保険だけでなく、労災保険も加入しなければなりません。
労災保険といえば、労働中や通勤中のアクシデントによるケガなどで休業が必要になった際、その従業員や家族の保護をするため、賃金の80%が支給されるという制度です。
労働者が安心して働くためにも必要なこの労災保険ですが、従業員を1人でも雇用する事業所(企業)の場合は強制加入となり、業務に携わるほぼすべての従業員が加入対象になります。また雇用保険とは異なり、加入に勤務期間や所定労働時間の長さは関係なく、もちろんアルバイトも加入対象となります。
そして、労災保険の手続きの際にも書類にマイナンバーを記入しなければなりません。企業の担当者は、休業補償などの各種給付や労災年金を請求する場合、従業員からマイナンバーを提出してもらいましょう。
以前から法人企業や個人経営の適用業種で常時5人以上の雇用者がいる事業所は、厚生年金保険・健康保険といった社会保険に強制加入とされていました。
また、そこで働くアルバイトの従業員も、週の所定時間および月の所定労働日数が常時雇用者の4分の3以上ある場合は社会保険へ加入することとなっていました。
しかし2016年10月より、パートタイム・アルバイトなどの短時間労働者に対する社会保険(厚生年金保険・健康保険)の適用が拡大されています。この短時間労働者とは、次の4つの条件を満たしている労働者のことを指します。
また上記の条件を満たしており、勤務時間・日数が常時雇用者の4分の3未満であっても短時間労働者に含まれます。
所定労働時間が常時雇用者の4分の3以上の従業員に関しては従来通り。
さらに2017年4月から、常時500人未満の事業所においても、労使合意が行われた適用事業所(個人・法人を問わず)は、短時間労働者の社会保険への加入が認められるようになりました。
短時間労働者の方が社会保険に加入することについて、同意対象者の2分の1以上の同意を得たうえで、事業主が管轄の年金事務所に申し出ることをいいます。
また、同意対象者の過半数で組織する労働組合や過半数を代表する者がいる場合には、そうした方々の同意も有効です。
各種手続きを行う際、マイナンバーが必要になる書類もいくつかあります。アルバイトを雇用する際は、マイナンバーの提供をしっかりと確認しておきましょう。
この記事では「アルバイトでもマイナンバーの管理は必要か?」というテーマで話しを進めてきました。とくに社会保険に関しては、加入条件が近年大きく変わっていますので、今後は規模の小さい事業所でも従業員のほとんどが社会保険に加入するという時代になってくるかもしれません。
最新の社会保険の加入条件については「社会保険の加入条件を徹底解説!2024年の変更点や手続き方法を紹介」の記事を参考にしてください。
本記事を読んでアルバイトを雇用する場合は労災保険・雇用保険の諸手続きにおいて、マイナンバーが必要になるということが分かっていただけたかと思います。社会保険の適用拡大に該当するのかなどを今一度確認し、必要に応じてマイナンバーの提供を求めるようにしましょう。
そして担当者は、提供されたマイナンバーについてはしっかりと管理・保管等を行うことが大切です。
大学卒業後、日本通運株式会社にて30年間勤続後、社会保険労務士として独立。えがお社労士オフィスおよび合同会社油原コンサルティングの代表。
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