企業においてアルバイト従業員を雇用した際に、マイナンバーの管理はどうしていますか?アルバイトだからマイナンバーの管理は必要ない、ということはありません。アルバイトでもマイナンバーが必要になる場面は数多くあります。今回はアルバイトを雇用した際のマイナンバー管理について確認していきましょう。
油原 信・えがお社労士オフィス 代表 特定社会保険労務士
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大学卒業後、日本通運株式会社にて30年間勤続後、社会保険労務士として独立
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アルバイトを雇用した際も、マイナンバーの管理は必要です。例として「雇用保険」の手続きを見てみましょう。雇用保険に加入している場合、失業した際に次の仕事が見つかるまでの間、生活をするための基本手当が受けられます。
一見、アルバイトやパートとして雇われている従業員にとっては、関係ない制度のようにも思えますが実はそうではありません。
従業員の内、「31日以上継続して雇用されることが見込まれている」こと、さらに「所定労働時間が1週間で20時間以上である」という2つの条件を満たしている者は、原則として雇用保険に加入しなければなりません。
そして、雇用保険の加入手続きにはマイナンバーが必要です。そのため、条件に該当するアルバイトの方からもマイナンバーを提出してもらう必要があります。
また、雇用当初は30日以下の雇用を想定していたけれど、その後事情が変わって31日以上の雇用が見込まれることになった場合は、その時点から雇用保険が適用となります。
アルバイト従業員は労災保険も加入しなければなりません。労災保険といえば、労働中や通勤中のアクシデントによる怪我などで休業が必要になった際、その従業員や家族の保護をするため、賃金の80%が支給されるという制度です。
労働者が安心して働くためにも必要なこの労災保険ですが、従業員を1人でも雇用する事業所の場合は強制加入となり、業務に携わるほぼすべての従業員が加入対象になるのです。また、雇用保険と違って勤務期間や所定労働時間の長さは関係なく、もちろんアルバイトも加入対象となります。
そして、労災保険の手続の際にも書類にマイナンバーを記入しなければなりません。各種給付や労災年金を請求する場合、従業員からマイナンバーを提出してもらいましょう。
以前から法人企業や個人経営の適用業種で常時5人以上の雇用者がいる事業所は、厚生年金保険・健康保険といった社会保険に強制加入とされていました。
また、そこで働くアルバイトの従業員も、週の所定時間および月の所定労働日数が常時雇用者の4分の3以上ある場合は社会保険へ加入することとなっていました。
平成28年10月より短時間労働者(アルバイトも含む)に対する厚生年金保険・健康保険の適用が拡大されています。この短時間労働者とは、次の4つの条件を満たしている労働者のことを指します。
また、以上の条件を満たしており、勤務時間・日数が常時雇用者の4分の3未満であっても、短時間労働者に含まれます。(所定労働時間が常時雇用者の4分の3以上の従業員に関しては従来通り)
さらに平成29年4月から、常時500人未満の事業所においても、労使合意が行われた適用事業所(個人・法人を問わず)は、短時間労働者の社会保険への加入が認められるようになりました。労使合意とは、短時間労働者の方が社会保険に加入することについて、同意対象者の2分の1以上の同意を得たうえで、事業主が管轄の年金事務所に申し出ることをいいます。
また、同意対象者の過半数で組織する労働組合や過半数を代表する者がいる場合には、そうした方々の同意も有効です。各種手続きを行う際、マイナンバーが必要になる書類もいくつかあります。アルバイトを雇用する際は、マイナンバーの提供をしっかりと確認しておきましょう。
「アルバイトでもマイナンバーの管理は必要か?」というテーマで話しを進めてきました。とくに社会保険に関しては、加入のための条件が近年大きく変わっていますので、要注意でしょう。今後は規模の小さい事業所でも、従業員のほとんどが社会保険に加入するという時代になってくるかもしれません。
本記事を読んでアルバイトを雇用する場合は労災保険・雇用保険の諸手続きにおいて、マイナンバーが必要になるということが分かっていただけたかと思います。社会保険の適用拡大に該当するのかなどを今一度確認し、必要に応じてマイナンバーの提供を求めるようにしましょう。
そして、提供されたマイナンバーについてはしっかりと管理・保管等を行うことが大切です。