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社会保険と国民健康保険の違いとは?保険料負担や保障内容を比較して解説

国民健康保険と社会保険の違いとは?保険料負担や保障内容を比較して解説

監修者:蓑田 真吾 みのだ社会保険労務士事務所
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この記事でわかること・結論

  • 国民健康保険と社会保険の違い
  • 社会保険から国民健康保険の切り替え方法

国民健康保険と社会保険は、年金受給者などでない場合はどちらかに加入する必要があります。基本的にはサラリーマンなどが社会保険に加入し、自営業者などが国民健康保険に加入するようになっています。

どちらも国民のけがや病気、失業や高齢などによる負担をサポートする役割があります。しかし、保険負担額や保障内容、加入できる条件などが異なるため覚えておきたいところです。

転職や独立をお考えの方や、パートタイム・アルバイトの方などこの記事を参考に、国民健康保険と社会保険の違いをおさえておきましょう。

国民健康保険や社会保険とは

国民健康保険や社会保険とは

まずは、社会保険と国民健康保険について基本的な内容を解説します。

国民健康保険とは

国民健康保険は、基本的に社会保険に加入しないすべての方が対象となる保険制度です(被扶養者と生活保護者を除く)。例を挙げるとフリーランスや個人事業主などの自営業者、年金受給者や非正規雇用者などが被保険者として加入する必要があります。

また、保険者となる運営団体は「市区町村」や「国保組合」です。両者それぞれで主な加入対象者が異なります。

市区町村 国保組合
対象者 その地域の国民健康保険対象者 組合によって異なる
運営元 都道府県や市区町村 職種ごとの国保組合など

ほとんどの方は市区町村主体の国民健康保険に加入しますが、以下の一部職種の方は国保組合主体の国民健康保険に加入が可能です。

国保組合の対象職種
  • 全国土木建築国保:土木や建築関係の方が加入可能
  • 医師国保:開業医などが加入可能
  • 文芸美術国保:文芸や美術活動者が加入可能

また、国民健康保険は扶養制度がありませんそのため国民健康保険に加入している方に家族がいたとしても別々で健康保険などに加入する必要があります。そして、当然保険料の支払いが加入者分発生することになります。

国民健康保険の保険料に関しては社会保険と異なり全額自己負担となるため、切り替え直後の家計簿などには注意しましょう。

社会保険とは

社会保険とは、サラリーマンなどの正社員や公務員などが主に加入する保険制度です。以下5種類を総称して社会保険と呼ばれることもあります。パートタイムやアルバイトの方でも、社会保険の加入条件を満たせば社会保険に加入することができます。

社会保険の種類

保険者としての運営主体は、協会けんぽ(全国健康保険協会)や健康保険組合、共済組合などがおこなっています。協会けんぽ(全国健康保険協会)は中小企業の従業員が主に加入し、健康保険組合は大企業の従業員が加入します。そして公務員や学校職員などが共済組合に加入します。

社会保険の運営元と加入対象者

社会保険料については、勤務先企業と折半で被保険者が負担します。また、社会保険は収入のない家族などを扶養に入れることも可能です。

社会保険の扶養条件は以下の記事で詳しく解説しています。

国民健康保険と社会保険の違い

国民健康保険と社会保険の違い

ここからは国民健康保険と社会保険の違いを見ていきましょう。働き方やお勤め企業によって異なるというのみで内容自体は似ていますが、実は以下のように多くの違いがあります。

国民健康保険と社会保険の違い
  • 基本的な保障内容の違い
  • 保険者(運営団体)の違い
  • 扶養概念の違い
  • 保険料負担額の違い

基本的な保障内容の違い

国民健康保険や社会保険は、どちらも医療分野についての保障内容などは同等です。ですが、社会保険にはあって国民健康保険には用意されていない内容もあります。

POINT
社会保険にはあって国民健康保険にはない保障

社会保険では設けられている給付金制度で、国民健康保険では存在しない制度があります。どちらも一定であるのは医療費負担割合や高額療養費制度などです。
共済組合や特定の健保組合が指定する医療機関では負担割合が3割未満というケースもあり。

国民健康保険には、出産手当金がない

出産手当金」とは、出産によって労働ができない期間中一定金額の給付を受け取れる制度です。社会保険加入者であれば適用できますが、国民健康保険加入者には用意されていません。被保険者または扶養者が出産した場合、一児につき50万円が支給される「出産育児一時金」は国民健康保険にも適用されます。

国民健康保険には、傷病手当金がない

傷病手当金」は、病気やけがによって労働ができない場合に一定金額の給付を受け取れるという保障内容であり、こちらも国民健康保険にはない制度です。しかし、コロナウイルス感染症関連の手当など、国民健康保険でも例外的に設けられるケースもあります。

どちらも労働ができない期間中の給付金制度ですが、社会保険の加入者でなければ2つとも適用されません。国民健康保険よりも社会保険の方が手厚いという印象は、この保障内容の差から言われることが多いでしょう。

保険者(運営団体)の違い

次に運営主体となる保険者の違いがあります。国民健康保険と社会保険で異なりますが、それぞれさらに2、3種類の保険者に区分ができます。

保険者(運営主体) 加入対象者
国民健康保険 市区町村 該当地域に住む国民健康保険加入者
国保組合
(国民健康保険組合)
個人事業所が対象、同種の事業・業務の従事者
社会保険 協会けんぽ
(全国健康保険協会)
中小企業の従業員
健康保険組合 大企業の従業員
共済組合 公務員や学校職員など

国民健康保険は基本的に市区町村が運営をしており、土木関係者や文芸美術関係者などの一部の事業所については、国保連合(国民健康保険組合)主体の国民健康保険に加入します。

そして社会保険は、多くの中小企業が協会けんぽ(全国健康保険協会)主体の社会保険へと加入します。企業や業種によっては、独自の組合管掌健康保険を用意して従業員へ加入させる場合もあります。

扶養概念の違い

社会保険では被保険者の扶養者として、収入がないもしくは収入が少ない家族が同じ保険に加入することができます。

例:会社員の父、専業主婦の母、そして子供の3人家族の場合

上記の場合、まず会社員である父が勤務先に応じて社会保険に加入します。そして、専業主婦である母や子供も同様に、父の社会保険の被扶養者として保険給付の対象と認められます。

扶養概念の違い

被扶養者には条件があり、本人の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上などの場合は180万円未満)であり、同一世帯に属している場合は被保険者の年間収入の2分の1未満であるときに適用されます。

パートタイムやアルバイトの方は「106万円の壁」という言葉があるように、一定条件を満たしている場合は自身で社会保険への加入が必要になるため覚えておきましょう。

国民健康保険の場合はそもそも扶養という概念がありません。家族がいる場合でも全員が保険に加入する必要があり、人数分の保険料を支払う必要があります。

保険料負担額の違い

会社員などが加入する社会保険料は、被保険者を雇用している事業所と折半で負担します。ですが、国民健康保険については保険料が全額自己負担となります。

保険料負担額の違い

退職して自営業になる方は、会社員時代に差し引かれていた保険料の金額とは大きく異なってくるため必ず確認しておきましょう。

社会保険から国民健康保険の切り替え方法

社会保険から国民健康保険の切り替え方法

退職などを機に社会保険から国民健康保険への切り替えをする際は、被保険者本人がお近くの役所で手続きをする必要があります。

また、退職日(在職時の保険資格喪失日)より14日以内に手続きをしなければなりません。役所の手続きには本人確認書類のほかにも、退職証明書や各種資格喪失届などの会社から貰う書類も必要です。早めに対応してもらいましょう。

14日を超えるとトラブルになる可能性も

基本的には退職日より、国民健康保険が適用されることになります。そのため、14日をかなり超えてしまってからの加入でも、さかのぼって保険料を支払います。また、医療機関などで健康保険証がない状態で利用する場合は、保険料全額負担となってしまうため注意しましょう。

従業員が退職をした際は、事業者側もすみやかに被保険者資格喪失届や退職証明書などを発行してあげられるとスムーズに手続きが完了できるでしょう。

まとめ

国民健康保険と社会保険は、どちらも国民の生活を経済的にサポートする保険制度です。特に医療や年金、高齢などに関する保険給付などが目的として設けられています。

国民健康保険の被保険者となるのは、社会保険への加入条件を満たしていない方や個人事業主などです。対して、正社員や公務員は社会保険に加入することになります。

国民健康保険と社会保険は、上記のような加入対象者にくわえて保険料や保障内容などに違いがあります。本記事を参考に、自身の動労環境や加入している保険について理解しておくと、いざという時に正しく対応ができるでしょう。

みのだ社会保険労務士事務所 監修者蓑田 真吾

1984年生まれ。社会保険労務士。
都内医療機関において、約13年間人事労務部門において労働問題の相談(病院側・労働者側双方)や社会保険に関する相談を担ってきた。対応した医療従事者の数は1,000名以上。独立後は年金・医療保険に関する問題や労働法・働き方改革に関する実務相談を多く取り扱い、書籍や雑誌への寄稿を通して、多方面で講演・執筆活動中。
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