アンケート調査結果
- 社会保険の加入状況の第1位は「加入している」で75.3%
- 約7割が社会保険への加入にメリットを「感じている」または「どちらかと言えば感じている」
- 6割以上が2024年の社会保険の適用拡大について「知らない」
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アンケートアンケート調査結果
社会保険はこれまで段階的に適用が拡大しており、2024年10月からもまた拡大する予定です。
弊サイトでは現時点(2024年2月)の社会保険の加入状況などを調査するため、20代以上の男女300名を対象に、社会保険に関するアンケートを実施しました。
現在の社会保険の加入対象者はどれくらいいるのでしょうか。また、適用拡大後に加入対象者となる方の割合、労働者が感じている社会保険のメリット・デメリットなど気になる点を調査してみました。
まずは、社会保険の加入状況を調査してみました。調査結果のポイントは、以下のとおりです。
男女300名に現在社会保険に加入していますか?と質問してみたところ、「加入している」が75.3%、「加入していない」が12.0%、「扶養に入っている」が12.7%の結果となりました。
なお回答者の詳しい属性は、回答者のうち「男性」が131名、「女性」が169名です。年代は「20代」が40名、「30代」が122名、「40代」が86名、「50代」が40名、「60代以上」が12名です。
社会保険の加入状況を年代別に見ると、いずれの年代も「(社会保険に)加入している」の回答者が最多でした。第2位は、20代/30代は「扶養に入っている」で、40代/50代/60代以上は「(社会保険に)加入していない」の結果となりました。
社会保険の扶養に入るには、年間収入などに関する扶養条件を満たさなければなりません。社会保険に加入しておらず、扶養にも入っていない方は基本的に国民健康保険に加入する義務があります。
なお、60歳を超えてからは、会社に勤めていても70歳になった時点で厚生年金保険の加入資格を失い、75歳になると健康保険の被保険者から後期高齢者医療制度の被保険者に自動移行します。
短時間労働者が社会保険に加入するには、月額賃金や労働時間、会社の従業員数などの条件を満たす必要があります。回答者のうちパートタイマー/アルバイトは51名で、社会保険の加入状況は「加入している」方が45.1%、「扶養に入っている」方が43.1%でした。
政府はこれまで、段階的に社会保険の適用拡大を実施しています。社会保険の短時間被保険者数は年々増加しており、実際に今回のアンケート調査でも、現在は社会保険に加入する短時間労働者が多いことが伺えます。
次に、社会保険のメリット・デメリットに関する調査をしてみました。調査結果のポイントは、以下のとおりです。
社会保険への加入にメリットを感じていますか?という質問には、「感じている」が26.6%、「どちらかと言えば感じている」が43.0%、「どちらかと言えば感じていない」が19.7%、「感じていない」が10.7%の結果となりました。
どちらかと言えば加入にメリットを感じている方が多いことが伺えます。
では「(メリットを)感じている」または「どちらかと言えば感じている」方は、社会保険のどこにメリットを感じているのでしょうか。
それを知るために「(メリットを)感じている」「どちらかと言えば感じている」と回答した方に向けて、社会保険に加入するメリットとして最も魅力を感じるものを一つ選んでくださいという質問をしてみました。
その結果、「会社が保険料を半分負担してくれる」が39.2%、「将来受け取る年金額が増える」が32.5%、「休業中も保障が手厚い」が15.8%、「万が一のときにより多くの障害年金や遺族年金が支給される」が11.0%、「その他」が1.5%となりました。
次に「(メリットを)感じていない」「どちらかと言えば感じていない」と回答した方に向けて、社会保険に加入するデメリットとして最も近いものを一つ選んでくださいという質問をしてみました。
その結果、「社会保険から脱退したい場合、加入条件に該当しないように労働時間などを調整する必要がある」が49.4%、「手取り額が減少する」が38.5%、「社会保険料を支払う負担が増える」が3.3%、「その他」が6.6%、「未回答」が2.2%となりました。
社会保険の加入にメリットを感じている方にとって、社会保険の最大の魅力は「会社が保険料を半分負担してくれる」でした。しかし社会保険にメリットを感じていない方にとっては、50%の負担でもデメリットに感じていることが伺えます。
社会保険料は、社会保障制度を維持するために毎月給与から天引きされています。その対価として、厚生年金保険に加入すると、自動的に国民年金にも加入していることになり、将来は厚生年金と基礎年金(国民年金)を受け取れます。また、病気やけがで障害を負ったときの障害年金、遺族が亡くなった際の遺族年金の給付額が増えます。
さらに雇用保険に加入すると、失業したときに失業手当や職業訓練が受けられ、育休を取得した際には育児休業給付金が給付されます。健康保険からは、病気やけがで働けなくなったときに傷病手当金、出産をしたときには出産手当金が給付されます。
次に、社会保険の適用拡大に関する調査をしてみました。調査結果のポイントは、以下のとおりです。
2024年10月から、従業員数51名~100名の企業で働くパートタイマー・アルバイトが新たに社会保険の加入対象となります。
そこで適用拡大の実施について知っているか質問してみたところ、「知っていた」が38.0%、「知らなかった」が62.0%の結果となりました。同年2月時点で半数以上の方が知らないことが伺えます。
この適用拡大は、すでに社会保険に加入している方には影響がありません。適用拡大について「知らなかった」と回答した方186名のうち、142名はすでに社会保険に加入している方でした。ただし、今回のアンケート調査で扶養に入っている/社会保険に加入していないと回答した75名のうち44名が、適用拡大について「知らなかった」と回答しています。
社会保険の適用拡大に伴い、企業は対象者への周知など社内での準備を進める必要があります。弊サイトでは、新たに社会保険の対象となった企業が、社会保険の適用拡大について社内に周知するための案内文例を公開しています。このテンプレートを活用し、対象者の加入漏れがないようにしましょう。
現在の働き方を10月以降も継続した場合、10月からの社会保険の適用拡大によるご自身への影響を教えてくださいという質問には、「影響はない(すでに社会保険に加入している)」が76.3%、「影響はない(適用拡大後も加入対象外)」が12.7%、「現在無職または離職中」が4.7%、「新たに社会保険の加入対象者となる」が3.3%、「その他」が3.0%の結果となりました。
今回のアンケート調査の回答者のうち、ほとんどの方が社会保険の適用拡大が実施されても影響はないようですが、少数ながら「新たに社会保険の加入対象者となる」方もいます。そのうち、現在は扶養に入っている方が70%、(社会保険に)加入していない方は30%でした。
このことから、2024年10月に実施される社会保険の適用拡大は現在扶養に入っている方への影響が大きいことが伺えます。
次に、「新たに社会保険の加入対象者となる」と回答した方に向けて、2024年10月から社会保険に加入しますかと質問してみました。その結果「わからない/決めていない」が75.0%、「加入する」が25.0%となり、多くの方が社会保険への加入をまだ決めていないことが伺えます。
最後に、社会保険についてまたは社会保険の適用拡大について思うことがあれば教えてくださいという質問をしてみたところ、ポジティブな意見とネガティブな意見の両方が集まりました。ここでは一部の意見を抜粋してご紹介します。
プラスの意見としては、社会保険に加入するメリットの調査結果でも約半数の人が選んだ、社会保険の保障について述べる意見が多く集まりました。
反対にマイナスの意見としては、社会保険料の負担についての不満の声が多く集まりました。なお、社会保険に加入するデメリットで「手取り額が減少する」または「社会保険料を支払う負担が増える」と回答した方は、いずれも正社員が多く、他の雇用形態の方より収入が多いと考えられる方のほうが、社会保険料の負担に不満を抱えていることがわかります。
アンケート調査の回答者300名のうち、社会保険に加入している方が75%を占めていました。パートタイマーやアルバイトといった短時間労働者においても、社会保険の加入状況の第1位は「加入している」でした。このことから、社会保険の適用が段階的に拡大していることに伴い、加入の義務が発生する労働者が増えていると言えるでしょう。
なお2024年10月から、新たに従業員数51名~100名の企業で働くパートタイマー・アルバイトが社会保険の加入対象となります。この適用拡大の実施については62%の方が「知らなかった」と回答したことから、社内での周知が進んでいない企業が多いことが伺えます。
企業の担当者は、適用拡大に伴い加入対象となる従業員を把握し、必要であれば個人面談や説明会などで社会保険のメリット・デメリットを伝えましょう。
調査名 | 社会保険に関するアンケート |
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調査対象 | 20代以上の男女300名 |
調査期間 | 2024年2月16日~2024年2月28日 |
調査方法 | インターネット調査 |
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