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有給申請は何日前までに事前申請すべき?当日やあとから申請できる?

有給申請は何日前までに事前申請すべき?当日やあとから申請できる?

監修者:労務SEARCH 編集部
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この記事でわかること・結論

  • 有給休暇の申請期限は法律では定められていない
  • 就業規則などにおいて会社が規定している申請期限を守る必要がある
  • 多くの会社では有給休暇の申請期限を「当日まで」や「2日前〜1週間前」としている

有給休暇取得は法律で義務化されています。では有給申請は何日前までにしなければならないのでしょうか?

実は申請期限は法令で定められておらず、明確な決まりがありません。一般的には会社の就業規則などにおいて、有給休暇の申請期限が定められています。

本記事では、一般的な有給休暇の申請期限や申請方法などに加えて、有給休暇の申請時に使える「有給休暇届」の無料テンプレートもご紹介します。

有給休暇とは

有給休暇とは

有給休暇(年次有給休暇)とは一定期間勤続した労働者に付与される賃金が支払われる休暇日のことです。1年間で一定日数付与されるものであり、有給休暇を取得して休んでもその分の賃金が減ることはありません。

有給休暇は、雇用された日から起算して勤続期間6カ月を超えてから付与されます。事業者は労働基準法第39条により、雇用する労働者への有給休暇付与が義務づけられています。


労働基準法第39条

使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。


また、労働基準法に定められている上記要件を満たしているのであれば、雇用形態にかかわらず有給休暇を取得できます。そのため、パートタイムやアルバイトの方でも、働き方によっては有給休暇を利用できます。

有給休暇は取得義務がある?

2019年に労働基準法が改正され、年間10日以上の有給休暇が付与されている労働者には、時季指定をして年間5日以上を取得させることが事業者に義務づけられました。

違反した場合は?

上記の労働者に対して、年間5日以上の有給休暇を取得させていない場合は、対象となる労働者1人につき30万円以下の罰金が科せられることがあります。

また、事業者には時季指定の方法などを就業規則に記載する義務、および対象の労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成して3年間保存する義務があります。

有給申請は何日前までにすべき?

有給休暇の申請は何日前までにすべきか

有給休暇の申請期限は、法律で特に定められていません。

会社の就業規則などに従うのが一般的

そのため「有給休暇取得日の何日前までに申請しなければならない」という明確な決まりはなく、会社ごとに設けられている就業規則などの規定にしたがって有給休暇を申請することが一般的です。

アンケート調査では申請期限を当日までとする企業が最多

このように有給休暇の申請期限は、会社が定めている規定によって異なります。なお、弊サイトが300名を対象におこなった有給休暇に関するアンケート調査によると、有給休暇の申請期限は当日までとする企業が最も多い結果となりました。次に多いのは「2日~1週間前」までとする企業です。

有給休暇の申請は何日前までにおこなうことになっていますか?

ただし、会社側は有給休暇中の業務リソースを配分しなければならないため、なるべく直前ではなく余裕をもって申請するのがいいでしょう。

「時季変更権の行使」によって別日になることもある

有給休暇は、原則として労働者が申請した希望取得日に付与しなければなりませんが、事業の正常な運営を妨げる場合においては他の日にさせることも可能です。この内容は、労働基準法第39条5項にて定められています。


労働基準法第39条5項

使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。


そのため、有給休暇の申請時に事業者が「時季変更権」を行使する場合は、別日での取得に変更することもあります。

有給休暇は事後申請できる?

体調不良や急用などで、突如欠勤になってしまった日をあとから有給休暇にすることも会社によっては可能です。上記のような「有給休暇の事後申請」を認可している会社もあり、具体的には病気や自然災害の影響で休むときなどが該当します。

欠勤については、その日分の賃金は支給されません。ですが、有給休暇の申請期限後にやむを得ない欠勤が決定することもあるため、有給休暇の事後申請を認めているところもあります。

自身が属している会社において、有給休暇の事後申請が認められているかどうか気になる方は就業規則などを確認しておきましょう。

有給休暇の申請方法

有給休暇の申請方法

有給休暇の申請方法については、会社によって異なります。

紙の申請書を提出する企業が多い

弊サイトのアンケート調査によると、一般的には紙の申請書を提出することが多いようです。

有給休暇の申請方法について教えてください。

ほかにも、以下のような有給休暇の申請方法があります。

有給休暇の申請方法例
  • メールや申し込み書類など
  • 勤怠管理システムなどのソフト
  • 社内用のアプリやサイト

上司や人事担当へメールもしくは、申請書類のようなものを提出することで有給休暇を取得するという会社が多いでしょう。勤怠管理システムなどを導入している会社では、自身のPCやスマホから申請することもあります。

有料のシステムではなく、その会社独自のアプリやサイトを利用して勤怠管理をおこなっているところもあるでしょう。有給休暇の申請方法は、所属している会社のやり方を確認してみてください。

申請書を使うなら有給休暇届の無料テンプレートがおすすめ

もし「まだ有給休暇の申請方法を決めていない」または「紙の申請書を使いたいけどフォーマットを決めていない」といった場合は、有給休暇届の無料テンプレートをダウンロードして使うのがおすすめです。

有給休暇届

弊サイトでも有給休暇届の無料テンプレートを用意しています。必要に応じて下記からダウンロードの上、ご活用ください。

有給休暇届テンプレートを無料ダウンロードする>>

有給休暇の申請理由は必要?

有給休暇を取得する際は、原則として申請理由を伝える必要はありません。法律で理由について述べることが義務づけられているわけではないため、どのような理由であれ有給休暇を取得することができます。

有給休暇の申請拒否は原則として認可されていませんが、会社が緊急時などの場合には時季変更権を行使される可能性もあります。そういった場合は、有給休暇の申請理由や「なぜその日を希望するのか」などを聞かれることもあるでしょう。

会社は時季変更権を行使する理由を、労働者は有給休暇の申請理由をお互いが伝え合って、労働者が納得のいく有給休暇日を決めることもあります。

会社に有給休暇の申請を断られたときの対処法

有給休暇の申請を断られたときの対処法

ここからは有給休暇の申請について、期限を守っているのにもかかわらず会社側に断られてしまった場合の従業員側がすべき対処法を解説します。対処法としては以下3つの方法があります。

断られたときの対処法
  • まずは会社に理由を聞く
  • 労働基準監督署などに相談する
  • 転職を検討する

まずは会社に理由を聞く

余裕をもって有給休暇の申請をしたのに断られてしまった場合は、まず人事部や上司などに理由を伺ってみましょう。

もしかすると、「時季変更権を行使しなければならないほど忙しい時期であるから」などの理由があるかもしれません。別日で有給休暇を取得することも視野に入れながら、まずは理由を伺うことが大切です。

労働基準監督署などに相談する

有給休暇の申請を何度も断られたり、別日の申請でも認められなかったりなど不当な対応をされる場合は、以下のような公的機関に相談することも対処法のひとつです。状況によってはハラスメント行為に該当することもあるため、社内の相談窓口などがある場合は先にそちらに相談してみるのも良いでしょう。

相談先の公的機関

困ったら厚生労働省の「労働基準行政の相談窓口」というページで、各種相談先のリンクが紹介されているため参考にしてみましょう。もし、公的機関へ対応を依頼するのであれば、断られたとわかる証拠を用意する必要があります

会社が有給休暇の申請を不当に拒否するなどした場合は、先述したように労働基準法違反となり、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

転職を検討する

社内の相談窓口や公的機関へ相談しても状況が変わりそうにない場合は、思い切って転職を視野に入れることもおすすめします。そもそも労働基準法を遵守できていない会社は、有給休暇以外のことでも今後トラブルになる可能性があります。自身のためにも、早めの決断が大切です。

また、同じような経験をしないためにも、転職先を探すときは有給休暇の取得についてよく調べるようにしましょう。

有給休暇の申請に関するよくある質問

有給休暇の申請に関するよくある質問

有給休暇の申請は何日前までにすべき?
有給休暇の申請期限は、実は法律で定められていません。それぞれの会社が規定している申請期限に従う必要があります。そのため自社の就業規則などを確認して、規定されている期限内に有給休暇の申請をおこないましょう。
有給休暇の申請は何日前までがマナーですか?
決まったマナーなどはありませんが、会社は労働者1人がいない状況でのリソース配分を決めなければいけません。周りの人にも影響するため、余裕をもって申請することが理想です。
有給休暇の申請を断られた場合の対処法は?
有給休暇の申請を断られた場合は、その理由を必ず聞きましょう。「繁忙期であるから」など会社にも理由があるかもしれません。また、あからさまに不当な拒否であった場合は労働基準監督署や弁護士事務所などに相談してみるのも対処法です。

まとめ

有給休暇の申請期限は、法律では特に定められていません。何日前から申請すべきかについては、会社ごとに規定された申請期限を確認しましょう。

多くの会社では2日前から1週間前を期限としています。ですが、事業の正常な運営を妨げる場合に事業者は「時季変更権」を行使することができるため、なるべく余裕をもって申請することが理想です。

申請には有給休暇届の無料テンプレートをぜひご活用ください。万が一、有給休暇の申請が不当に断られた場合は、社内相談窓口・労働基準監督署・弁護士事務所などに相談しましょう。

監修者労務SEARCH 編集部

労務・人事・総務管理者の課題を解決するメディア「労務SEARCH(サーチ)」の編集部です。労働保険(労災保険/雇用保険)、社会保険、人事労務管理、マイナンバーなど皆様へ価値ある情報を発信続けてまいります。
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