2016年1月から施行されたマイナンバー制度。従業員や下請先、顧問弁護士などからマイナンバーを提出してもらったものの、どのようなときにマイナンバーが必要になるのか、理解できていない企業も多いといわれています。
マイナンバーが必要になるのはどのようなときでしょうか。今回は、従業員などに提出してもらったマイナンバーが必要となるシーンについて解説します。
目次
従業員などのマイナンバーが必要となるシーンは、主に以下5つのシーンです。
ここからは、それぞれのシーンにおいてマイナンバーがいつ必要となるのか詳しく解説していきます。
2017年1月より、健康保険組合における社会保険手続きにおいて、提出書類へのマイナンバー記入が必須となりました。そのため、2017年1月以降適用の届出用紙には、マイナンバー記入欄が設けられています。新規で書類を提出する際には、旧版の届出用紙を使用しないように注意しましょう。
また、2016年11月の閣議決定を受けて、年金機構へ提出する書類へのマイナンバー記入は任意となりました。漏洩の機会を減らすためには、記載しないようにする方が良いでしょう。
健康保険協会への給付に関する届出用紙にも従業員のマイナンバーの記入項目がありますが、記号番号を記入すれば本人確認ができるため、その場合は記載の必要はないとの案内がされています。
ただし、退職後に健康保険を任意継続する際には、マイナンバーの記載が義務になるとされています。
雇用保険については、マイナンバー制度の施行直後である、2016年1月からマイナンバーの記載が義務付けられています。「個人番号」という名称で、マイナンバーを記入する項目が追加されています。
従業員を採用したとき、従業員が退職するときに提出する雇用保険被保険者資格取得届と資格喪失届は、保険給付等の関係でマイナンバーが必要となります。さらに、
の提出時には、マイナンバーの記入をしなければいけないと取り決められています。
ただし、高年齢雇用継続給付支給申請書や育児休業給付金支給申請書などは、初回だけマイナンバーが記入必須事項となっており、2回目以降の提出時には、マイナンバー記入の必要がないとされています。
また、離職証明書などの書類については、マイナンバーの記載は必要ないとされています。
最初にご紹介したとおり、社会保険の被保険者資格の取得や喪失を届け出る書類において、マイナンバーを記入しなければならない事例があります。また健康保険関係の給付申請の際にも、マイナンバーの提出が求められる場合があります。
たとえば、
などの届出の際に、記号番号の記入をしなければマイナンバーの記入が必要となります。ただし、これらの申請書というのは従業員個人が提出するものであり、本来は会社から提出するものではありません。
事業主証明が必要な書類の場合、会社がそのまま提出するケースもあるかも知れませんが、従業員本人にマイナンバーの記入が必要であるということを伝えておけば、無駄な書類の差し戻しなども減るでしょう。
労働保険の中にある障害補償給付支給請求書や遺族補償年金支給請求書などの年金たる労災保険給付の届出に関しても、マイナンバーの記入が必要となります。
当該年金の申請については、一般的に本人が届出を行うものとされているので、企業は関係ないとされています。しかし、本人自ら手続を行うことが困難な場合については、企業が本人から委任を受け、その代理人として個人番号を取り扱うことは可能です。
所轄税務署に提出する給与所得の源泉徴収票や報酬等の支払調書に関しても、マイナンバーの記入が必要とされています。
ただし、従業員に渡す給与所得の源泉徴収票には記載しないものとされています。
個人が提出する法定調書は、基本的には税務署に支払う法定調書の控えとしてコンピューターなどから印刷されるため、本人向けの書類にマイナンバーが記載されるかどうかは、企業が運用している人事給与ソフトによって変わってくるでしょう。
ソフトによっては印刷の有無を決定することもできますので、保有しているソフトのマニュアルを確認するようにしてください。
今回ご紹介したように、さまざまな届出にマイナンバーの記入が必要となります。そして、これらの関係書類にマイナンバーを記載するのは法令で定められた義務とされています。
従業員や外注先などからマイナンバーの提供を拒否されても、国が法令で定めた義務であることをしっかりと説明した上で、提供してもらうように努めましょう。
また、マイナンバー記載が必要な書類を確認するポイントとしては、最終的に「行政機関に提出する関係書類かどうか」ということになります。この概念を念頭に置き、必要な場面を見落とさないようにしましょう。