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メンタルブレイクの症状・心が壊れる前兆とは?休職した際の会社側の対応とは?

メンタルブレイク・心が壊れる前兆(サイン)とは?うつ病などの症状と予防法も解説

監修者:山本 務 やまもと社会保険労務士事務所
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近年、メンタルブレイク(メンタルダウン)という言葉を耳にする機会が増えました。うつ病患者が増えているうえに、最近よく耳にするブラック企業の影響もあって、日本人のメンタル状況はますます悪化していると言ってもおかしくないでしょう。

事業主は、従業員のメンタルブレイク(メンタルダウン)の兆候になるべく早く気づき適切に対処する、または原因を知って予防することが大切です。

今回は、心が壊れる前兆やメンタルブレイクの症状、周囲の人が気付くべき異変について解説します。

心が壊れる前兆は?メンタルブレイク(メンタルダウン)の症状

心が壊れる前兆は?メンタルブレイク(メンタルダウン)の症状

うつ病などの心の病気について、認知度はここ数年で大きく上がってきたものの、まだまだきちんと理解している方は少ないと思います。

心の病気・メンタルブレイク(メンタルダウン)というのは、誰にでもかかりうるものです。従業員はもちろんのこと、極端にいえば事業主自身にも起こりうることだと言えます。

心の病気にも、体の病気と同じように「前兆」が見られます。心が壊れる前兆として自覚できるものとしては、次のようなことが挙げられます。

心が壊れる前兆・症状(例)

  • 何もしていないのに気分が落ち込んでしまう
  • 何をするにも気力が出てこない
  • いつもなら何でもないことに対してもイライラしてしまう
  • 気持ちが落ち着かない
  • 胸がドキドキして息苦しい
  • 周りに誰もいないのに人の声が聞こえてくる
  • 食欲不振または食事がおいしく感じない
  • 熟睡できず夜中に何度も目が覚めてしまう

しかし、これらの兆候が業務上のストレスで引き起こされているとは限りません。風邪やほかの体調不良から引き起こされているとも考えられ、ストレスと症状との因果関係が非常に分かりにくいのです。

メンタルブレイク(メンタルダウン)の現状

メンタルブレイク(メンタルダウン)は、決して一部の人だけに起こる特別な問題ではありません。近年は、働く人のストレス増加や働き方の変化などを背景に、メンタルヘルス不調による休職・退職が社会問題として注目されています。

厚生労働省の調査でも、職場で強い不安やストレスを感じている労働者の割合は非常に高く、多くの事業所でメンタルヘルス対策が課題となっています。ここでは、厚生労働省のデータをもとに、メンタルブレイク(メンタルダウン)の現状について解説します。

メンタルヘルス不調による休職・退職は増加傾向にある

厚生労働省「労働安全衛生調査(実態調査)」によると、メンタルヘルス不調によって連続1カ月以上休業した労働者や、退職した労働者がいる事業所の割合は増加傾向にあります。

令和4年には、メンタルヘルス不調によって「連続1カ月以上休業した労働者がいた」と回答した事業所は10.6%、「退職した労働者がいた」と回答した事業所は5.9%でした。また、休業または退職した労働者がいた事業所全体の割合は13.3%となっており、企業にとって無視できない問題となっています。

特に、コロナ禍以降は働き方やコミュニケーション環境が大きく変化したこともあり、メンタルヘルス不調への関心はさらに高まっています。

多くの労働者が強いストレスを感じている

厚生労働省の調査では、「現在の仕事や職業生活に強い不安・悩み・ストレスを感じている」と回答した労働者は、令和4年で82.2%にのぼっています。

つまり、働く人の約8割が何らかの強いストレスを抱えながら働いている状況です。

ストレスの内容として多かったものは、以下のような項目です。

労働者が強いストレスを感じる主な要因

  • 仕事の量
  • 仕事の失敗や責任の発生
  • 仕事の質
  • 対人関係(セクハラ・パワハラ含む)
  • 顧客や取引先からのクレーム

このように、単純な長時間労働だけでなく、人間関係や責任負担などもメンタルブレイク(メンタルダウン)の大きな要因となっています。

事業所規模を問わずストレスを抱える労働者は多い

職場のストレスは、大企業だけの問題ではありません。

事業所規模別の調査を見ても、10〜29人規模の事業所で78.6%、100〜299人規模では86.0%、1000人以上の大規模事業所でも84.3%の労働者が強い不安やストレスを感じています。

つまり、企業規模に関係なく、多くの職場でメンタルヘルス対策が必要な状況にあるといえるでしょう。

特に中小企業では、相談窓口や産業医体制が十分に整っていないケースもあり、従業員が不調を抱え込んでしまうリスクもあります。

医療・福祉業界などでは特にストレス割合が高い

業種別に見ると、「医療・福祉」「複合サービス事業」「運輸業・郵便業」などでは、強い不安やストレスを感じている労働者の割合が特に高い傾向があります。

ストレス割合が高い主な業種(例)

  • 医療・福祉
  • 複合サービス事業
  • 運輸業・郵便業
  • 宿泊業・飲食サービス業

医療・福祉分野では88.3%、複合サービス事業では88.1%という高い数値が出ており、人手不足や対人業務の負担、責任の重さなどが背景にあると考えられます。

また、宿泊業・飲食サービス業や運輸業などでも高い割合となっており、業種によっては慢性的な人員不足やクレーム対応、シフト勤務などがストレス要因となっているケースも少なくありません。

メンタルブレイク(メンタルダウン)が企業に与える影響

メンタルブレイク(メンタルダウン)は、従業員本人の健康問題だけではなく、企業経営にも大きな影響を与える可能性があります。

近年は、メンタルヘルス不調による休職や退職が増加傾向にあり、人材不足や生産性低下などの経営課題につながるケースも少なくありません。

また、企業には従業員の安全や健康に配慮する「安全配慮義務」が求められており、職場環境によっては法的リスクへ発展する可能性もあります。

ここでは、メンタルブレイク(メンタルダウン)が企業へ与える主な影響について解説します。

離職や休職による人手不足につながる

従業員がメンタルブレイク(メンタルダウン)を起こした場合、長期休職や退職につながることがあります。

特に慢性的な人手不足に悩む職場では、1人欠けるだけでも現場負担が大きく増加するケースは少なくありません。

また、休職者の業務を既存社員がカバーすることで、周囲の従業員にも負担が集中し、さらにメンタル不調者が増えてしまう悪循環が起こる可能性もあります。

近年は、若手人材の早期離職や人材確保難が企業課題となっているため、従業員のメンタルヘルス対策は人材定着の観点からも重要です。

生産性低下や業務ミスの増加につながる

メンタル不調は、必ずしも突然休職や退職につながるわけではありません。

症状が表面化する前の段階でも、集中力低下や判断力低下、注意力散漫などが起こることがあります。

その結果、業務ミスや確認漏れ、コミュニケーション不足などが増え、生産性低下につながるケースがあります。

特に、製造業や運輸業、医療・介護業界などでは、ヒューマンエラーが重大事故につながる可能性もあるため注意が必要です。

また、管理職がメンタル不調に陥ると、組織全体の意思決定やマネジメントにも影響を与えることがあります。

ハラスメントや安全配慮義務違反のリスクもある

長時間労働や過度なプレッシャー、ハラスメントなどが原因で従業員がメンタルブレイク(メンタルダウン)した場合、企業側の責任が問われる可能性があります。

企業には、従業員が安全かつ健康に働けるよう配慮する「安全配慮義務」があります。

そのため、過重労働を放置したり、相談を受けても適切な対応を行わなかった場合、労災認定や損害賠償問題に発展するケースもあります。

また、パワハラやセクハラだけでなく、顧客による著しい迷惑行為である「カスタマーハラスメント(カスハラ)」への対応も重要性を増しています。
2026年10月には、企業に対してカスハラ対策を義務付ける改正法の施行も予定されており、今後は従業員を守るための体制整備がより一層求められるでしょう。

カスハラの実態については、下記記事でも詳しく解説しています。

採用コストや教育コスト増加につながる

メンタル不調による離職者が増えると、新たな人材採用が必要になります。

しかし、採用活動には求人広告費や採用担当者の工数、面接対応など多くのコストが発生します。

さらに、新入社員を採用した後も、教育や研修には時間と費用が必要です。

せっかく育成した従業員が短期間で離職してしまえば、企業にとって大きな損失となります。

特に専門性の高い業種では、後任育成に長期間かかることも多く、人材流出は企業競争力低下にもつながります。

そのため、従業員が安心して働ける環境を整備し、メンタルヘルス不調を未然に防ぐことは、結果として企業経営の安定化にもつながる重要な取り組みといえるでしょう。

メンタルブレイク(メンタルダウン)の原因

メンタルブレイク(メンタルダウン)してしまう原因は、心が弱いからというわけではなく、いくつもの精神的な負担が積み重なって起きてしまいます。

精神的な負担とは?

精神的な負担というのは「ストレス」と言い換えてもいいでしょう。激務やそれに伴う疲労・睡眠不足、さらには人間関係など、労働するうえでその原因になりうるものはたくさん考えられます。

こういったストレスの感じ方や、どういったことが心の負担になってしまうかということはそれぞれ違ってきます。つまり、あなた自身が全く平気なことでも、人によっては大きな負担になってしまうこともあるのです。

メンタルブレイク(メンタルダウン)は一つのことが原因になるというよりも、さまざまなことが重なり合って起きてしまうことが多いため「これくらいなら大丈夫だろう」といった安易な考えを絶対にしてはなりません。

また「職場でのハラスメント」「ブラック企業」「やりがい搾取」「安全配慮義務を欠いた職場」などの環境要因もメンタルブレイクにつながる可能性があるため要注意です。

メンタルブレイク(メンタルダウン)かも?よくあるサイン

何か自分の心境に異変があったとしても、それがメンタルブレイク(メンタルダウン)の兆候であることを認めるのは、実は勇気がいることです。

従業員のなかには、心のどこかで「自分はうつ病になんてならないだろう」と考える方も多く、症状がかなり進行するまで気が付かないということもめずらしくありません。本人が、

  • メンタルブレイク(メンタルダウン)していると認めたくない
  • 病院には行かない
  • 病院に行く必要もない

という気持ちを抱いてしまうこともあるのが心の病気の厄介な点だということを、事業主は認識しておく必要があるでしょう。

メンタルブレイク(メンタルダウン)の判断ポイント

前述のとおり、心の病気は自分では気が付きにくいものです。そのため周囲の人が、しっかりとサポートしてあげなければなりません。事業主としても、以下のような異変が起きている従業員がいないかチェックすることを心掛けましょう。

事業主がチェックすべきポイント(例)

  • いつもは身なりをきちんとしている人がだんだん乱れた服装になってきた
  • 遅刻をしない人が遅刻するようになった
  • 業務上ミスが多くなる
  • ぼんやりしていることが多い
  • 急に太ったり痩せたりする
  • ちょっとしたことですぐに感情的になる
  • 独り言が増える
  • 他人の視線をやたらと気にする
  • 1人になりたがる

このように心の病気にかかると、日頃の行動や見た目が以前とは明らかに違うことが多く見られることがあります。

環境が変わる時期は特に注意が必要

また、環境が変わったばかりの時期は特に気をつけましょう。就職・転職・異動など、環境や立場が全く変わってしまうと、それに慣れるまではいつも以上のストレスがかかってしまいます。新しく事業所に来た従業員がいる場合は、より注意しなければなりません。

メンタルブレイク(メンタルダウン)の予防法

メンタルブレイク(メンタルダウン)は治療すれば回復していくものです。そのため、早めに対処することが非常に重要となります。

事業所に相談窓口の設置、公的機関で相談できることを周知する

事業所に相談窓口の設置、公的機関で相談できることを周知する

事業主としては、できることをしっかりと行ってください。事業所に相談窓口を設置することも大切ですが、公的な機関でも相談できるということも事業所内で周知しておくべきでしょう。

心の病気について
相談できる公的機関

  • 地域の保健所
  • 健康センター
  • 精神保健福祉センター

上記のように身近なところに相談できる場所は多く、電話などで気軽に相談が可能なところもあります。

普段から注意喚起をおこなう

そして何より、従業員にメンタルブレイク(メンタルダウン)の兆候が表れてから動くのではなく、普段から予防のための対策を取っておくことが大切です。

なかには、心が不安定になってから直接アドバイスされても、より気分が滅入ってしまうという方もいるかもしれません。こういった面を考慮し、普段から社内メールで注意喚起をおこなったり、パンフレットや掲示物などを活用しメンタルブレイク(メンタルダウン)についての案内をおこなっても良いでしょう。

具体的なアクションとしては、産業カウンセラーの活用・ストレスチェックの実施・メンタルヘルスツールの導入、などが挙げられます。

職業性ストレス簡易調査票を活用しよう

職業性ストレス簡易調査票とは、労働者が職場で感じるストレスの要因や反応を評価するための自己記入式の調査票です。利用は労働安全衛生法に基づき、50人以上の従業員を抱える事業所において年に1回の実施が義務づけられています。対象は全ての労働者です。

職業性ストレス簡易調査票テンプレート

当サイトでは、Excel形式の職業性ストレス簡易調査票の無料テンプレートを公開しています。このテンプレートはどなたでも無料で活用可能です。下記からダウンロードのうえ、ご自由にご活用ください。

職業性ストレス簡易調査票テンプレートを無料ダウンロードする>>

休業中の従業員がいたら復帰までのサポートをおこなう

また、すでに事業所で治療のため休業している従業員がいる場合、復帰までのサポートも欠かせません。休業中の生活費はどうなるのか、きちんと復帰できるのかなど、そういった不安を抱える方は非常に多いと思われます。

POINT

休業中の従業員への事業主の対応とは

国が実施している医療費の助成制度や税金の免除などの経済的な支援について把握し、該当する従業員へ勧めることができるようにしておくと良いでしょう。国が実施する支援や制度については、国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センターの「こころの情報サイト」で紹介されています。

メンタルブレイクから回復するには

従業員がメンタルブレイクしてしまった場合は、休職させることも検討しましょう。メンタルブレイクした原因が仕事以外にあれば、傷病手当金を受け取れる可能性があります。もし職場が原因でメンタルブレイクした場合は休業補償の対象です。

従業員としては経済的なリスクを抑えながら休養を取れる可能性があるので、休むという選択も視野に入れましょう。

まとめ

従業員のメンタルブレイク(メンタルダウン)を予防することは、会社の生産性を落とさないためにも重要です。ですが、それ以上に自社の従業員を守るという意味でも、事業主として適切に対応しなければならないことでもあります。

メンタルブレイク(メンタルダウン)を防ぐためには、まず事業主自身がメンタルブレイク(メンタルダウン)についてよく理解すること、従業員1人1人としっかり向き合っていくことが大切です。

やまもと社会保険労務士事務所 監修者山本 務

上場の建設会社にて情報システムの開発、運用、管理を経験した後、人事部に異動して給与計算、社会保険手続きから採用・退職など、人事労務管理に約12年従事。やまもと社会保険労務士事務所の所長、特定社会保険労務士。
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