職場のハラスメントとは?種類一覧や言動を解説【社労士監修】

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社会問題に発展しているハラスメントは、労働トラブルに発展しやすい重要な課題です。
当事者は気づかずにハラスメントをしてしまっていることも多く、訴訟になってはじめて事の重大さに気づく場合が多いといえます。

本記事では、労働トラブルを未然に防止するためにハラスメントの意味や種類を解説します。

監修者
蓑田 真吾

みのだ社会保険労務士事務所 社会保険労務士
https://www.minodashahorou.com/

大学卒業後、鉄鋼関連の企業に総合職として就職し、その後医療機関人事労務部門に転職。 約13年間人事労務部門で従業員約800名、新規採用者1,000名、退職者600名の労務、社会保険の相談対応にあたる。 社労士資格取得後にみのだ社会保険労務士事務所を開設し、独立。

職場のハラスメントとは

職場のハラスメントとは

職場のハラスメントとは、職場でおこなわれる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの3つの要素をすべて満たすものと定義します。

客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲でおこなわれる適正な業務指示や指導はハラスメントに該当しません。

代表的な職場のハラスメントについて

職場で起こりやすい代表的なハラスメントをご紹介します。

セクシャルハラスメント(セクハラ)

セクシャルハラスメントとは、労働者の意に反する「性的な言動」により、労働条件について不利益を受け就業環境が害されるハラスメントです。男性から女性に対するハラスメントだけでなく、女性から男性への性的言動もセクハラとなるため、注意が必要です。

セクシャルハラスメントの種類

職場におけるセクシャルハラスメントは「対価型」と「環境型」の2種類があります。

対価型セクシャルハラスメントとは、職場において労働者の意に反する性的な言動がおこなわれ、それに対して拒否・抵抗などをしたことで、労働者が解雇、降格、減給などの不利益を受けるハラスメントです。

環境型セクシャルハラスメントとは、職場でおこなわれる労働者の意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な影響が生じるなど労働者が就業するうえで見過ごせない程度の支障が生じることが該当します。

セクシャルハラスメントに該当する言動

性的な言動とは、性的な内容の発言および性的な行動を差し、この「性的な内容の発言」には「性的な事実関係を尋ねること」「性的な内容の情報を意図的に流布すること」などが該当します。

また、性的な行動には「性的な関係を強要すること」「必要なく身体に触ること」「わいせつな図画を配付すること」などが含まれます。

具体的なセクシャルハラスメントの言動について
対価型セクシャルハラスメント 環境型セクシャルハラスメント
・事務所内において事業主が労働者に対して性的な関係を要求したが、拒否されたため、その労働者を解雇すること
・出張中の車中において上司が労働者の腰、胸などに触ったが、抵抗されたため、その労働者について不利益な配置転換すること
・事務所内において上司が労働者の腰、胸などに度々触ったため、その労働者が苦痛に感じてその就業意欲が低下していること
・同僚が取引先において労働者にかかる性的な内容の情報を意図的かつ継続的に流布したため、当該労働者が苦痛に感じて仕事が手につかないこと

パワーハラスメント(パワハラ)

パワーハラスメントとは、職場において、地位や人間関係などの優位性を利用して、業務の適正な範囲を超えて、身体的・精神的苦痛を与える行為や職場環境を悪化させる行為です。

マタニティハラスメント(マタハラ)

マタニティハラスメントとは妊娠・出産したこと、育児のための制度を利用したことなどに関して、上司・同僚が就業環境を害する言動をおこなうハラスメントです。マタハラは、解雇や減給、雇止め、上司や同僚からの嫌がらせも該当します。

パタニティハラスメント(パタハラ)

パタニティハラスメントとは、配偶者の妊娠・出産・育児に関わる男性に向けられたハラスメントです。男女平等の現代においても、「妊娠・出産・育児は女性」というイメージが強いため、顕在化しにくいハラスメントでもあります。

職場外や採用で起き得るハラスメント

職場外や採用で起き得るハラスメント

職場外や採用でもハラスメントは起きやすく、企業としてコンプライアンス研修をおこなうことが大切です。

アルコールハラスメント(アルハラ)

アルコールハラスメントとは飲酒の強要など酒席の場での迷惑行為が該当するハラスメントです。酔っぱらって周囲を不快にする、迷惑をかけるという印象がありますが、無理やりお酒を飲ませる行為もハラスメントに該当します。

オワハラ(終われハラスメント)

「内定出すからこの場で、ほかの内定先に断りの電話を入れてほしい」など、学生の就職活動を終わらせようとする行為もハラスメントです。内定辞退を避けたいがための行動ではありますが、企業イメージの毀損にもつながる重大なハラスメントです。

モラルハラスメント(モラハラ)

モラルハラスメントは、パワハラやセクハラ、マタハラなどに該当しないもの(意図的に無視する行為や、常識を挙げて相手を非難する行為)が該当する場合が多いといえます。

そのほかのハラスメント

そのほかのハラスメント

そのほかにもハラスメントとされているものはたくさんあります。いくつかご紹介します。

スメルハラスメント

スメルハラスメントは、匂いのきつい香水や体臭などによって周囲を不快な気持ちに与える行為が該当します。匂いは好みがあるため、気づかないうちに加害者となっているかもしれません。

カラオケハラスメント

カラオケハラスメントとは、部下や後輩などに、無理やりカラオケを歌わせる行為が該当します。パワーハラスメントの延長線上にある行為ともいえます。

ブラッドハラスメント

ブラッドハラスメントは血液型診断などの不確定要素の多い事象で相手の性格を決めつける、不快な気分にさせる行為が該当します。

ハラスメントハラスメント

上司が部下から受けるハラスメントです。一般常識の範囲内で仕事に関する注意をしただけで、ハラスメントとして訴えてくるという事例が増えています。

ハラスメントの定義:まとめ

セクシャルハラスメントやパワーハラスメントといった有名なハラスメントだけではなく、現在ではさまざまな行為がハラスメントに該当しやすいといえます。

相手に対して不快な気持ちにさせる行為だけでなく、「ハラスメントを受けた」ことを盾にして相手を責め立てる事例も問題となっています。

何気ない行為でもハラスメントと捉えられてしまうため、本人が気づかないうちに加害者になってしまうことを防ぐためにもコンプライアンス研修の導入を徹底しましょう。