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社会保険加入義務および手続きと、社会保険の適用拡大を徹底解説

社会保険では、適用事業所や勤務する従業員の加入が義務付けられています。正社員だけでなくパートやアルバイトも対象となる一方で、非適用の事業所では正社員でも社会保険に加入できない場合もあります。

また、平成28年10月に社会保険の適用拡大開始で、従来は社会保険適用の対象外だった短時間労働者にも適用される場合があり、混乱する人もいるでしょう。そこで社会保険加入義務の手続きや適用拡大について詳しく解説します。

社会保険の「強制適用事業所」とは

社会保険の強制適用事業所は、事業主や従業員の意思にかかわらず、健康保険や厚生年金保険などの社会保険への加入が義務付けられており、加入の手続きを取らないと法律で罰せられます。

適用対象の事業所

  • 事業主を含む従業員1人以上の会社、国や地方公共団体などの法人
  • 常時使用の従業員が5人以上いる、一部の業種を除く個人事業所

上記のように、法人は個人事業所もそのほとんどが強制適用事業所となりますが、常時使用の従業員の数や業種によっては、その対象外となる場合もあります。

たとえば、常時使用の従業員が5人未満の個人事業所や、5人以上の個人事業所でも理美容業、飲食業などのサービス業、農林漁業などの場合は強制適用事業所とはなりません。

ただ、それらの事業所は一定の要件を満たし、申請をすることで社会保険が適用されるようになります。そのような形で事業所が任意で社会保険に加入する「任意適用事業所」については次項で説明します。

社会保険の「任意適用事業所」とは

強制適用事業所の対象外となる事業所でも、従業員の半数以上が社会保険(健康保険・厚生年金保険)の適用事業所になることに同意したうえで事業主が申請し、厚生労働大臣の認可を受けると「任意適用事業所」になります。

適用対象の事業所

  • 常時従業員が5人未満の個人事業所
  • 常時従業員が5人以上のサービス業・農林漁業など一部の個人事業所

任意適用事業所は、強制適用事業所と同じく社会保険適用となります。そこで働く従業員にも強制的に健康保険や厚生年金などの社会保険が適用されます。

ここまでは、従業員を使用する側の事業所と社会保険との関連について説明しました。次項では、事業所に使用される側の従業員の社会保険加入について説明していきます。

社会保険の「強制加入対象者」とは

会社、商店等の法人および個人事業所など、社会保険(健康保険・厚生年金)の適用事業所に常時使用される(※)70歳未満の人は、報酬額、国籍、性別、年金受給の有無にかかわらず、法律に基づき強制的に健康保険や厚生年金保険に加入することとなります。
(但し、原則として70歳以上の方は健康保険のみの加入となります)
そのような従業員の総称を「社会保険の強制加入対象者」または「被保険者」と呼びます。

※「常時使用される」とは、雇用契約書の有無にかかわらず適用事業所で常時働き、給与や賃金などの報酬を支給されている従業員を指します。試用期間中でも報酬が支払われている場合もここに含まれます。

具体的には、次のような人が強制加入の対象者(被保険者)となります。

  • 法人の代表者
  • 役員
  • 正社員
  • 試用期間中の従業員
  • パート・アルバイト
  • 外国人従業員

なお、パートやアルバイトについては、労働時間や労働日数が所定の割合以上である場合、または次項で記載する要件を全て満たす場合などに、社会保険の被保険者となります。

パートやアルバイトの加入条件について

パートやアルバイトも、適用事業所に常時使用されている雇用形態の場合は社会保険の強制加入の対象となります。つまり、パートやアルバイトでも社会保険に加入させなければいけないということです。

パート・アルバイトが社会保険の適用範囲となるケース

  1. 1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が、同じ事業所で同じ業務を行っている正社員など一般社員の4分の3以上
  2. 1の要件を満たしていなくても、次の「短時間労働者の要件」全てに該当する
  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 勤務期間1年以上またはその見込みがある
  • 月額賃金が8.8万円以上
  • 学生以外
  • 従業員501人以上の企業に勤務している

上記の社会保険強制加入の適用条件は、平成28年10月より社会保険の適用が拡大されたことに基づき、新たに設定されたものです。次の項ではその適用拡大のポイントについて、従来の適用条件と比較しながら説明します。

平成28年10月からの社会保険の適用拡大とは

前項でお話しした通り、法改正に基づき平成28年10月よりパート、アルバイトの社会保険の適用が拡大されました。

  1. 被保険者資格取得の基準明確化

    変更前は「1日または1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が常時雇用者のおよそ4分の3以上」となっていましたが、変更後は「1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が常時雇用者の4分の3以上」になり、基準が明確になりました。

  2. 特定適用事業所

    同一事業主(法人番号が同一)の適用事業所の被保険者数(短時間労働を除き共済組合員を含む)の合計が1年で6か月以上、500人を超えることが見込まれる事業所は、「特定適用事業所」の指定を受けます。

  3. 特定適用事業所に勤める短時間労働者の社会保険適用

    パート・アルバイトの中で1の被保険者資格を持たない「短時間労働者」の中でも、2で新たに指定された「特定適用事業所」に勤め、5つの「短時間労働者の要件」を満たす従業員については、社会保険が適用されることになりました。

まとめ

今回は、社会保険加入の条件について、事業所と従業員両方の面から解説してきました。社会保険は従業員の健康や将来の生活を守るために必要不可欠なものですので、事業所は社会保険加入の条件について十分に理解しておく必要があります。

また、平成28年10月の法改正からパート、アルバイトでも新たに社会保険の対象となった人も数多くいますので、加入もれがないように忘れずに手続きをとりましょう。

岡 佳伸(おか よしのぶ)|社会保険労務士 岡 佳伸 事務所

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